お風呂の後にトレーニングを行おうと考えたことはあるかと思います。

確かに、体を温める事にはなりますが、筋肉には果たして良いのでしょうか?筋トレへのパフォーマンスは?そういった気になる疑問を、この記事で解消していきたいと思います。シャワーの場合はどうなるのか、などもできるだけわかりやすく解説していきます。

風呂上がりの筋トレのメリット・デメリット

メリットとデメリット

結論から言うと、トレーニングの前にお風呂へ入る事はあまりおすすめ出来ません。筋肉だけでなく脳の状態もリラックスさせてしまうからです。

・メリット

風呂上がりにトレーニングを行うメリットとしては、血管が拡張され、血の巡りが良くなっている状態を最初から作れる事です。トレーニングの前に少しランニングマシーンで走ったり、軽い重量を扱ったりして、ウォームアップをすると思います。それと同じ効果を得られると考えられます。

ウォームアップの効果としては、温めることで筋肉の可動域や流動性などを上げ、怪我の防止をしたり、トレーニングする部位の血流が良くなってパンプアップが得やすくなったり、パフォーマンスの向上が期待できます。

・デメリット

しかし、『お風呂へ入る』という事は全身の筋肉を緩める事に繋がり、入る時間にもよりますが、トレーニングへのデメリットになる可能性もあります。特に温度の高い湯舟に浸かると、筋肉だけでなく脳もリラックスしてしまい、副交感系神経を刺激することになります。そうなると、体の活発性が下がりトレーニングのパフォーマンスに悪影響を及ぼすため、筋トレでもうまく力が入らないでしょう。

時間帯と温度を考えよう

それでもどうしても入りたかったり、入らざるを得ない事情がある人もいると思います。そのような場合には、『入る時間』と『お風呂の温度』考えましょう。

例えば外国人の人は夜シャワーを浴びずに朝浴びる習慣があるように、寝る前にお風呂へ入るのではなく、朝にシャワーを浴びたり風呂へサッと入って、眠たい体を起こすのに利用するというのも良いでしょう。

そうすればデメリットとなる脳のリラックスも防げますし、トレーニングも朝早くに行うことで一日の身体の代謝を高くすることができます。あくまで入浴の時間を短く済ますことで、筋肉の弛緩も防ぐことができます。

お風呂の温度も重要です。37℃程度のぬるま湯なら良いのですが、38℃以上の熱い湯に浸かってしまうと、筋肉が必要以上に熱せられてしまいます。

筋トレは筋肉に負荷を与えることで筋肉に熱を持たせてダメージを与えますが、最初から筋肉に炎症がある状態であると上手く筋肉が力を発揮できません。ですから、熱い温度で体を温めるのではなく、ぬるま湯程度にしておくのが良いでしょう。

  • 朝に眠気を覚ますためならシャワー・お風呂は効果的!
  • 37℃以下のぬるま湯にすれば筋肉は温まり過ぎない

筋トレ前のシャワーはダメなのか?

お風呂がだめならシャワーはどうなのか?という疑問も出るかもしれませんが、基本的には同じことです。

しかし、シャワーを浴びる時には普通は立って浴びると思います。『湯船に浸かる』という過程が無いため、脳のリラックスや筋肉の弛緩効果は、お風呂に入るときに比べて確実に薄いと考えられます。

シャワーの温度が高すぎなければ、その後の筋トレに及ぼす影響もあまり無いでしょう。それでも、多少の体温度の向上によって体がだるく感じる可能性もあるため、やはり温かいシャワーもできれば控えた方が良いでしょう。

熱い季節なら冷たいシャワーも良し

冷水シャワーなら…

では、冷たいシャワーなら?冷水風呂なら?と考えると、それもあまり良い手段ではないかもしれません。

筋肉は、冷たい温度にさらされると硬直するしてしまうため、逆に血液の循環が悪くなり、その後のトレーニングで筋肉が動かなくなってしまいます。ウォームアップと逆の事をしているんですね。

しかし、暑い季節には例外である可能性があります。

2003年に行われた研究では、熱帯気候でのトレーニングの前に水風呂に浸かる、または体を冷やすことは、トレーニング中の筋肉のヒートアップを低減させ、筋疲労を抑制する働きがある事が示されています。

つまり、夏のような暑い季節や場所でのトレーニングをする場合には、冷たいシャワーや水風呂などで体を少し冷やしてから始めると、効果があるということです。

実際、夏に外で走ったり、冷房が効いていないジムなどでトレーニングをすると、すぐに身体が疲れてくることがあります。体を事前に冷やしておくことは、より長くトレーニングを持続する上でも確かに効果はあるかもしれません。

まとめ

トレーニング前のお風呂、シャワーに関して話してきましたが、ご理解いただけたでしょうか。要点をまとめると…

  • 筋トレ前のお風呂は血の循環を良くするが、脳をリラックスさせ、筋肉を緩ませるため、筋トレに悪影響である。
  • 時間と湯の温度を考えることで、トレーニングに活用することもできる。
  • シャワーでも同じことが言えるが、リラックス効果や筋肉の弛緩は少ないと考えられる。
  • 冷たいシャワー・水風呂は、暑い気候であれば有用になり得る。基本的には筋肉を固めてしまうため、しない方が良い。

トレーニングをする前には、お風呂に入るよりも栄養をしっかり摂る事や、鍛える部位をしっかりとウォームアップさせることを意識した方が良いと思います。トレーニングでしっかりと汗をかいて、その後にシャワーを浴びる方が良いでしょう。シャワーに関しては冷水シャワーとテストステロンは本当に関係があるのか?や、トレーニング後のシャワーの温度は熱いか冷たいかどっちが良い?で更に解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

では、また。

参考文献

・Brearley, B Matt and James P Finn. (2003). Pre-cooling for Performance in the Tropics. Sportsscience. Retrieved from http://www.sportsci.org/ jour/03/mbb.htm