人によって筋トレをする目的は違いますが、有酸素運動を組みあわせる人はおそらく脂肪の燃焼を期待して行っているかと思います。しかし、逆に有酸素運動と筋トレを行っていても体重を増やすことは可能です。
だけど、どうやって行えばいいのか?筋トレへの影響や順番の関係は?体重を増やす食事の方法は?この記事では、筋トレと有酸素運動の関係性についての疑問に対してできるだけわかりやすく説明していきます。
目的別の筋トレと有酸素運動の関係
筋トレをしながら体重を増やしたい方の目的は、ほとんどが『筋肉を増やしたい』という想いがあってのことだと思います。しかし、筋肉だけを増やすのは難しく、脂肪も同時につけることで体重を効率よく増やすことができます。その上で、有酸素運動をする人は3つのタイプに分かれるかと思います。
クリーンバルク(脂肪をつけない増量)を目指す方
できるだけ脂肪をつけずに筋肉を増やしていく増量法である、『クリーンバルク』。上手く行うことができれば、一年を通してある程度フィットした、一般的に言われる格好の良い身体を保つことができます。
しかし、徹底した栄養管理と筋トレのメニューなどを計画性をもって行うことで初めて成功できる、難易度の比較的高い増量方法です。
このクリーンバルク法に有酸素運動を取り込めば、代謝向上とカロリー消費を促すことができ、脂肪の貯蓄を抑えることができます。勿論クリーンバルクと言っても、一日の消費カロリーよりも多くのカロリーを摂取しなければなりませんから、食事もその分多く摂らなければなりません。
心肺機能の向上を目指す方
有酸素運動をすることで心肺機能が向上を図る事も出来ます。心肺機能はトレーニングの耐久度やパフォーマンスにも関わっています。
肺活量や心臓強度が高ければ、それだけ厳しい筋トレにも耐えられるようになりますし、息切れもしにくく、より長い時間高強度のトレーニングを行うことができます。
しかし、長時間のろのろと走っていても心肺機能はなかなか強くなりません。そこで、高強度インターバルトレーニングというものがあります。例えば、ランニングマシーンで走っているとすれば、
一分間80%の速さで走る→30秒速度を緩めて休憩する→また一分間80%で走る
といった方法で高強度のスプリントを取り入れた有酸素運動です。多くの研究によって、この方法の方が心肺機能の向上効果が普通のランニングよりも高い事が示されています。
このトレーニングは短時間(10~20分程度)で終えることができるので、時間効率も良いです。
脂肪も落としながら心配機能の向上を図る方
両方のアドバンテージを活用しようとする方もいるかと思います。
この場合にも、先ほど紹介した高強度インターバルトレーニングが有効です。心肺機能の向上だけでなく、脂肪の燃焼も普通の有酸素運動より多いことが判明しています。
その理由としては、より短時間で脚を追い込むことによって、消費カロリーの増加と代謝の飛躍的な向上が可能だからです。
ただ、名前の通り非常に強度の高い有酸素運動であり、脚への負担も大きくなります。脚のトレーニングの前後日ほどは行わないことが薦められます。
順番や時間は影響するのか?
脂肪の燃焼に関して
脂肪を燃やすための有酸素運動は、基本的にどのタイミングで行っても、その有酸素運動自体によっての脂肪の燃焼量は変わりません。
『グリコーゲンの枯渇した朝に行った方が良い』『筋トレの後はグリコーゲンが枯渇しているからその後の方が良い』などと言われることもあります。
しかし、日常的に炭水化物を摂っている場合には体にグリコーゲンが満たされており、筋肉中にも常にも400~500gほどが普段から充填されています。つまり、普通に筋肉を増やすために食事をしていればまずグリコーゲンが枯渇することはありません。
そのため、一日の内の何時にしても、有酸素運動の脂肪燃焼効果は高まりません。
体重の増加or心肺機能のためのタイミング
体重を増やしたい人、心配機能を上げたい人は、3つの選択肢があります。
1.朝起きてからのタイミングか、2.トレーニングの後のタイミング、3.休みの日のどれかが良いでしょう。
1.朝起きてからの軽い有酸素運動は、心身両方の覚醒を助けてくれます。また、朝から体の体温を上げることで、一日を代謝が高い状態で過ごすことができます。
朝に行う際の注意点としては、強度の高いトレーニングをしない事と、筋トレの前に行わない事です。
高強度インターバルトレーニングのような、体を疲弊させてしまうような運動を行うと、その後の筋トレに支障をきたす恐れがあるからです。
また、朝に筋トレをする方は、軽い有酸素運動でも体力を使う事になるので控えた方が良いでしょう。
2.筋トレの後に有酸素運動を行う場合は、その後の事を考える必要が無いので、高強度の有酸素運動ができることがメリットになります。心肺機能を鍛えるなら、筋トレ後、という事です。
ただ、筋トレ後に更に高強度で有酸素運動を行うわけですから、当然身体は相当に疲れるでしょう。そうなれば、カロリー摂取と栄養摂取は必然となります。
3.筋トレが休みの日であれば後のトレーニングを心配することなく有酸素運動に勤しむことができるので、一番確実に高い強度で心肺機能を強化できます。重ねて注意しますが、脚のトレーニングの前日や後日に走るのはやめておきましょう。
体重を増やすには食事が大事
ここまでは、筋トレと有酸素運動の両立はできるという事を話してきました。しかし、肝心の食事をしっかりと摂っていない事には体重も増やしようがありません。
また、脂肪をつけたいだけの人は例外ですが、ただ単純にカロリーの高いもの食べているだけでは筋肉の伸びも期待できません。どのような食事を心がければ良いのでしょうか。
カロリーの摂取
体重を増やすためには、摂取カロリーを消費カロリーよりも多くしなければいけません。
体重を増やすためには、メンテンナンスカロリー(消費カロリー)プラス500kcalが理想と言われています。この数字は簡単に言えば脂肪をあまりつけないで増量できる目安です。
脂肪をつけても構わない人や、積極的にどんどん体重を増やしたい人は、500kcalなど気にしなくても良いと思います。
どちらにせよ、まず越えなければいけない壁を把握しておきましょう。
メンテナンスカロリーの計算
自分の普段のおおよその消費カロリー知るために、メンテナンスカロリーの計算をして、把握しましょう。サイトを少し下にスクロールすると入力フォームがあります。
- Ageに年齢を入力
- SEXでMale(男性)Female(女性)のどちらかにチェック
- HeightのMeters(メートル)を選択し、身長入力
- WeightはKILOGRAMを選択し、体重入力
- GOALでMaintenanceを選択
- アクティブレベル
- (Lightly Active=適度な運動+デスクワーク)
- (Moderately Active=激しい運動+デスクワーク)
- (Very Active=適度な運動+よく動く仕事)
- (Extra Active=激しい運動+良く動く仕事)
下に表示された数字が、一日に消費するカロリーです。
PFCバランスを考える
カロリーを摂る場合に最初に考えるべき事は、PFCバランス(三大栄養素のバランス)です。
タンパク質量は総摂取カロリーの20%~30%を摂るようにします。タンパク質のみは体重換算で計算し、確実に摂るようにしましょう。体重1kgあたり2g~3gほどを目安に摂ります。
例えば体重が80kgの人ならば、160gから240gほどですね。タンパク質は4kcal/gなので、640~960kcalほどタンパク質から摂取する事になります。
炭水化物量は筋トレのエネルギー源になるため、多めに60%ほどとっても良いでしょう。メンテナンスカロリーを参考に、例えば一日3500kcal摂取する場合、3500×0.6=2100kcal 炭水化物も4kcal/gなので、2100÷4=525g摂る事になります。
脂質は一番割合は少なく、10%~20%ほど摂りますが、脂肪酸は筋肉の成長や筋力の向上にも大切であるため、欠かさず摂るようにしましょう。脂質は9kcal/gなので、3500kcal/日の場合は350~700kcalほど摂ります。40~90gほどですね。
炭水化物と脂質の割合を逆にして行うケトジェニック食で行うこともできますが、基本的にケトジェニック食は減量に向いている方法です。増量する上では、エネルギー源を確実に確保できる炭水化物を多く摂取した方が、筋トレのパフォーマンスにも体重増加にも良いです。
ひたすら食べて体重を増やす
PFCバランスはあくまでしっかりと計算する場合の食事です。ひたすらカロリーの高い脂質や炭水化物を摂取して、体重をどんどん増やすことも可能です。
その場合のメリットとしては、グリコーゲンが常に満たされている状態になりますから、筋トレをする時にはパワーが出しやすい事です。トレーニングで扱う重量も体重の増加に伴って日に日に上がっていくでしょうし、食欲も満たされていることで、モチベーションも維持しやすいと思います。
欠点としては、脂肪がつきすぎることでトレーニングの可動域が狭くなる可能性がある事です。
防止法としては、二か月間の増量を行った後に、今度は二か月間の緩やかな減量を設けてあげる事です。そうすることで脂肪の付きすぎを防ぐこともできるし、増量期の停滞も防止できます。
まとめ
筋トレと有酸素運動と、体重増加について説明してきましたが、ご理解いただけたでしょうか。要点をまとめると…
- 筋トレと有酸素運動は共存できるが、目的によって時間帯とタイミングを考える必要がある。
- 筋肉と脂肪を増やすことで、体重は増える。
- 体重を増やすには食事とカロリーが大切である。
- PFCバランスを考えるorひたすら沢山食べることで体重は増えていく。
体重が増えにくい方もいるかもしれませんが、食事と筋トレ・有酸素運動のバランスを計画立てて考えることが増量の一歩となります。また、脂肪がつくことを恐れている人も、筋肉を増やすためには脂肪をつけるという前提を受け入れることが重要です(筋トレ初心者の方は例外で、脂肪をつけなくても筋肉は増える事が多いです)。
増量のための重要な知識と、良いトレーニングバランスを保つことで体重は確実に増えていくという事です。
では、また。
参考文献
- Position of the American Dietetic Association, Dietitians of Canada, and the American College of Sports Medicine.(2000). Nutrition and Athletic Performance. Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics. 100(12), 1543-1556.