僕は筋トレを始めたての頃に、主要男性ホルモンである「テストステロン」が筋量増加に影響を与えることを知って、ネットで必死にテストステロンの分泌を増加させる方法を探し回ったものです。その中にたびたび「シャワーを冷水で浴びると男性ホルモンが分泌される」と書かれていたので、勿論若き日の純粋な自分は何の疑いもなく実践していました。

今回は本当に冷水シャワーとテストステロンの分泌が関わっているのか、いくつかの研究結果をもとに見ていきます。

そもそもテストステロンって何?という方は、こちらの記事でより詳しく解説しています。

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冷水シャワー=睾丸を冷やす事

まず最初にことわっておきたいのは、冷水シャワーによるテストステロンの分泌は、女性の方にはあまり関係ない話です。というのも、ここで言う冷たい水を浴びる、という行為は実は睾丸を冷やす、という意味を持っているからです。

睾丸は男性ホルモンが作られる場所なので温度変化には直接関わってきます。研究が行われているのは、睾丸の温度の変化によって得られる男性ホルモンや性ホルモンの分泌の観察なので、体全体の話では無いのです。

しかし、後程話に出しますが、冷たいシャワーを浴びる事は体の温度変化のよるストレス増加・コルチゾール分泌の原因にもなりますので、性別関係なく知っていただきたいことです。

テストステロンに関するポジティブな研究結果

ポジティブな研究結果です。

2009年に行われた研究では、睾丸の温度が31℃の時にDNA合成が高まり、34℃、37℃の時にRNA合成が高まり、それらの合成が精子形成(=男性ホルモン分泌)にかかわっている事が結果として報告されています[1]。

2013年の6455の精子サンプルを試験した結果、春から夏にかけての季節に比べて冬の期間の方が活発で質、濃度共に高いという事が報告されています[2]。

更に、サルと羊を対象にした研究より、睾丸のライディッヒ細胞(テストステロンが分泌可能な細胞)を43度の高温にさらし続けた結果、テストステロンの分泌が著しく低下したことが分かっています[3]。

一部の研究を紹介しましたが、殆どが精子合成や精液濃度の話、もしくは動物を対象にした高温度下での研究で、実際に人体のテストステロン値が上がったという報告は残念ながらありません。これではあまり支持をすることはできなさそうです。

ネガティブな研究結果

ネガティブな影響を調べた研究結果です。

1991年に運動後の被験者を対象に冷水にさらすと、テストステロンの値が10%程度、黄体形成ホルモン(性ホルモンの分泌に関係)が22%程度低下したとの結果が出ています[4]。

1996年にラットを使用した実験で、ラットを8週間から12週間、日に10分15℃の冷水にさらす、テストステロンのレベルは下がり、コルチコステロン(corticosterone)のレベルは著しく上がったという結果が得られています[5]。

1989年の冷蔵工場での従業員を対象にした研究では、一日に3時間半冷蔵室で過ごした結果、テストステロンのレベルは下がっていたと報告されています[6]。

これらの研究結果では、睾丸だけでなく体を冷やすことによるテストステロン値の低下が認められます。更に、体を冷やすことによってコルチコステロンの分泌が促進されるという報告が多いのが事実です。

コルチコステロンとは、多くの場合コルチゾールとともに分泌される副腎皮質のホルモンです。コルチゾールといえばわかる方もいるかもしれませんが、ストレスを感じると分泌され、男性ホルモンを減らすことで悪名高いホルモンです。つまり、それだけ冷水を浴びるというのはストレスを感じることなんですね。

研究結果のまとめ

さて、研究結果とともに冷水がどのようにテストステロンに影響を及ぼすかを見ていきました。

この記事の要点
  1. 31-37℃程度の気温に保つと精巣男性ホルモンが分泌されやすい
  2. 睾丸に冷水をあてると精液形成が促進される
  3. 睾丸を高温にさらすとテストステロン値が低下する可能性がある
  4. 運動後に冷水に体を浸すとテストステロン値が下がる
  5. 長時間寒い場所に滞在するとテストステロン値が下がる
  6. 冷水や寒さに体をさらすとコルチゾールが分泌される

このようにまとめると、結果としては冷水シャワーを浴びることはメリットよりもデメリットの方が多いように見受けられます。

それよりは、身体がストレスを感じやすい、寒すぎたり暑すぎたりする環境を避ける事を意識すれば、シャワーの温度はあまり関係ないと思われます。温かいシャワーでも特に問題はない、という事です。

やはり、人間ストレスとの戦いなんですね。

では、本当にテストステロンを増やすにはどうすれば良いのでしょうか。簡単に8つほど挙げてみましょう。

テストステロンを増やすには?

1.運動・筋トレをしよう

2.タンパク質、脂質、炭水化物をバランス良く摂ろう

3.ストレスとコルチゾールをコントロールしよう

4.太陽光を浴びるかビタミンDを摂ろう

5.ビタミン・ミネラルサプリメントを摂ろう

6.十分な、質の高い睡眠を取ろう

7.天然テストステロンブースターを摂取しよう

8.健康的な生活習慣で、エストロゲンを対処しよう

これら8つは全て研究によって証明されたテストステロンを増やす方法です。それぞれの項目が、それぞれのアプローチで男性ホルモンを増やしてくれます。3つ目の「ストレスコントロール」は、今回のシャワーにも関係する事ですね。

一つ一つの項目に関してはこちらの記事で詳しく解説しているので、是非チェックしていただければ、テストステロンを増やせる方法をより理解してもらえると思います。

そんなこともう知ってるよ!という方は、こちらのテストステロンブースターになる食品リストも参考にしてみてください。

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参考文献

  1. Optimal Temperature for Synthesis of DNA, RNA, and Protein by Human Testis in Vitro. Journal of Reproductive Systems. 
  2. Seasonal variations of human sperm cells among 6455 semen samples: a plausible explanation of a seasonal birth pattern. American Journal of Obstetrics & Gynecology. 
  3. Mild testicular hyperthermia induces profound transitional spermatogenic suppression through increased germ cell apoptosis in adult cynomolgus monkeys (Macaca fascicularis).
  4. Effects of physical exercise and cold stimulation on serum testosterone level in men. 
  5. Cold swim stress leads to enhanced splenocyte responsiveness to concanavalin A, decreased serum testosterone, and increased serum corticosterone, glucose, and protein. 
  6. Pituitary-gonadal response to extreme cold exposure in healthy men.