この記事のまとめ
ふくらはぎの筋肉の成長には、トレーニング頻度・ボリュームを増やし、ふくらはぎ全体の筋肉をネガティブ動作でしっかり刺激を与える事が重要である。
ふくらはぎは重要な部位
ふくらはぎのトレーニングをしない方は、まずふくらはぎの筋トレをするところから始めなければいけません。しかし、ふくらはぎを鍛えているのに、なかなか筋肉がつかないという方もいるでしょう。
勿論、筋繊維の形成や腱、関節の長さなど、多少の遺伝は関係しています。しかし、遺伝だとあきらめてトレーニングを諦めるのはもったいない事です。改善できる点を改良すれば、上半身と下半身のより良いバランスを作る事ができます。
また、多くの女性の悩みであるふくらはぎのむくみや、脂肪なども、筋トレを行う事で血流改善と脂肪貯蓄の阻害ができるため、ふくらはぎの筋トレを行うデメリットがありません。因みに、ふくらはぎが太くならないと嘆いている男性が多い中で、女性が筋肉のつきすぎでふくらはぎが太くなることはまず無いので、心配は必要ありません。
では、何を注意してふくらはぎを鍛えれば良いのでしょう。
1.頻繁に鍛えよう
多くのトレーナーは、最低でも週三回はふくらはぎを鍛える事を推奨します。特に弱点部位ならなおの事頻度を増やした方が良いでしょう。
理由の一つには、ふくらはぎの筋肉は他の筋肉群に比べて小さいため、筋繊維が傷つけられても比較的速く回復が終わるのです。
もう一つには、頻繁に血流を弱点部位に促し、ストレスを与えることで、タンパク質の合成・回復が他の部位よりも優先されて行われることになります。それにより、成長に拍車をかける事ができます。
筋肉痛がある時には筋トレを避けた方が良いですが、鍛える時間的・体力的余裕があるときは、率先して鍛えた方が良いでしょう。
また、ダブルスプリットのルーティーンで、他の筋肉群と分けてトレーニングを行うのも効果的でしょう。
2.トレーニングボリュームを増やそう
ここでのボリュームというのは、セット数、レップ数(1セットに行う回数)、そして種目の数の事を指しています。
ある研究では、1週間に94㎞を走ったアスリートは、1週間に24㎞走ったアスリートよりも、ふくらはぎが20%より太くなっていた事を示しました。
1週間に94㎞の距離を走り始める必要はありませんが、この結果が示しているのは、ふくらはぎの筋肉を増やすには非常に多くのボリュームが必要である、という事です。ふくらはぎは、日常的に歩いたり階段を上ったりするのに使われているため、トレーニングではよりハードで多くの刺激・ストレスを必要とします。
よっぽどのふくらはぎ遺伝子を持ってない限り、脚のトレーニングの後に10回3セットしかしないのでは不十分だと言えます。
3.腓腹筋とヒラメ筋どちらも鍛えよう
腓腹筋はふくらはぎの表面についている、二つの筋肉から成る部位です。少しつま先を立ててみるとわかると思いますが、外側に見えるのが外側腓腹筋、内側に膨らんでいるのが内側腓腹筋です。
ヒラメ筋とは、腓腹筋の内側に潜んでいる筋肉で、表面上には見えない筋肉です。この筋肉が肥大することで、腓腹筋が外側に押し出され、より筋肉のメリハリが分かるようになってきます。
ヒラメ筋は、主に膝が曲がっている時に働く筋肉で、シーテッドカーフレイズ(座って行うかかと上げ)が代表的な筋トレです。対して腓腹筋は、主に膝がまっすぐの時に働くため、スタンディングカーフレイズ(立って行うかかと上げ)等が有効です。
また、細かいことを言えば外側腓腹筋は足の親指側に負荷をかける事で効きやすく、内側腓腹筋は足の小指側に負荷をかけることで効きやすくなります。負荷の乗り方に個人差はあるので、自分なりのフォームを探していくのも良いでしょう。
4.ゆっくりと、ポーズを使って
多くの人が速くセットを終わらせようと躍起になっているのを見かけますが、一回一回の質を高くした方が効果は高いです。
- 重りを上げるときに2~3秒をかける。
- 上げきったら2~3秒止め、しっかり収縮する。
- 下げるときに2~3秒をかける。
- 下げたきったら2~3秒止め、筋肉をしっかり伸ばす。
この方法で行うと、1レップにつき8~12秒かかり、10レップにつき1~2分かかる事になります。
必ずこの時間配分で行わなければいけないわけではないですが、筋肉の伸展・収縮を意識しながら行う事はどの部位でも非常に重要です。また、ゆっくりとレップをこなすことでマインドマッスルコネクション(心と筋肉の繋がり)も行いやすくなります。
弱点部位の一つの解決法
今まで説明した全てを行っている方で、まだふくらはぎが弱点部位である、もしくは筋肉が見えてこないという方は、一つ極端な解決策に乗り切るのも手です。
- スタンディングorシーテッドカーフレイズを8~10レップ、先ほど説明したテンポで行う。
- 休みは無しで、その場で30回続けて自重ジャンプをする。膝は曲げずに、ふくらはぎだけを使うように意識する。できるだけ高く、同じテンポで行う。
このセットを2~3回行うと、翌日に恐ろしい筋肉痛が来ます。ポイントは、休みなく筋肉に刺激・ストレスを与え続けることです。インターバルとらないで行うため、扱う重量は下がっていきますが、収縮と伸展を常に意識することで確実にふくらはぎにストレスがかかるでしょう。
参考文献
- Arazi, Hamid and Abbas Asadi. (2011). Effects of 8 Weeks Equal-Volume Resistance Training with Different Workout Frequency on Maximal Strength, Endurance and Body Composition. International Journal of Sports Science and Engineering. 5(2), 112-118.
- Shugart, Chris. (2019). Calf Training Essentials: What do you do if your calves are small even though you train them three days a week? Try these fixes.