この記事のポイント
  1. ホルモンは人間の恒常性を保つために分泌されている
  2. 内分泌系や視床下部・脳下垂体と共に協力して分泌している
  3. ホルモンと内分泌系には膨大な種類がある。
ホルモンは信号役

「ホルモン」と聞いた時に何を思い浮かべるでしょうか。焼肉でしょうか。

多くの人がホルモンと聞いた時に、「体の中にある大事そうななにか」という意見になると思います。実際、学校で少し習うだけで殆ど忘れてしまっていますよね。

ですが、ホルモンの働きを理解していると、自分の体の仕組みをより深く知り、健康管理にも役立てる事ができます。

この記事では、ホルモンの主要な働きと、種類や分泌される器官などの基本的な事をできるだけわかりやすく解説します。

ホルモンの働きとは?

疑問ですよね。

ホルモンの基本的な働きは、体内のホメオスタシス恒常性)を保つ事にあります。

例えば、人間は周囲の温度が熱くても低くても、同じ体温を保とうとします。熱いからと言って体の温度を下げる変温動物とは違い、人体の正常な働きを頑張ってキープをしているのが、ホメオスタシスと呼ばれる人間の機能なのです。

人間の体には多くの種類のホルモンがあり、それぞれが人体の恒常性を維持するのための役割を担っているのです。

ホルモンの分泌は調整されている

調整されています。

それぞれのホルモンの分泌は、後に説明する「内分泌器官」という場所で調整されています。

ホルモンというのは、ごくごく微量で体に影響する物質で、例えるなら、25×25mプールに対してスポイト一滴分くらいの量でしっかりと身体で役割を果たします。

それほど敏感なホルモンですから、当然内分泌器官は常に働いて、頑張ってホルモンの分泌量を調整しなければいけません。

体にストレスなどの負担が溜まってしまうと、内分泌器官は上手く働くことができずにホルモンの分泌量にも乱れが出てしまいます。

ものしりくまさんものしりくまさん

ホルモンはデリケートなものってことだな

負のフィードバック・正のフィードバック

それぞれの分泌器官に指令を出す役割を持っているのが、脳の視床下部・脳下垂体と呼ばれる場所です。

視床下部と脳下垂体の命令によって内分泌器官から分泌されたホルモンは、その分泌量に応じて、多すぎた場合は「もっと減らしてくれー」という信号を視床下部や脳下垂体の方へ直接送ります。

これが「負フィードバック」と呼ばれるシステムです。

逆に、足りていない時は「もっと分泌させろー」という信号を送り、分泌を促します。これが「正のフィードバック」です。

つまり、

  • 負のフィードバック=ホルモン分泌抑制のサイン
  • 正のフィードバック=ホルモン分泌促進のサイン

という事ですね。

このように、ホルモン自身も分泌の調整に協力しているのです。人間の体ってすごいんですね。

ホルモンの種類

ホルモンは非常に多くの種類が存在するので、今回は主要なホルモンを5つほど紹介します。

  1. 成長ホルモン(細胞の成長促進)
  2. アドレナリン(交感神経の興奮)
  3. インスリン(血糖値を下げる)
  4. グルカゴン(血糖値を上げる)
  5. 性ホルモン(生殖機能と男女の見た目)

成長ホルモン

成長ホルモンは、脳下垂体(脳の一部)から分泌されます。

その名の通りヒトの成長に深く関わっており、細胞の発達や骨・筋肉・内臓系など多くの場所の成長が、成長ホルモンによって促されています。

例えば子供の頃にあまり成長ホルモンが出ていないと、年齢を重ねても低身長のままであったり、逆に成長ホルモンが過剰に分泌されていると、巨人症と呼ばれる、身長が伸びすぎる症状が見られます。

たまに勘違いされますが、成長ホルモンは大人になっても分泌されてます。

大人の場合でも、怪我をした時に細胞の回復を速めたり、筋肉の発達に貢献したりと大切な役割を持っています。

アドレナリン

アドレナリンは、副腎(腎臓の上あたりにあります)から分泌されるホルモンです。

アドレナリンはよく知られているホルモンですが、脳の興奮作用があります。

具体的には、血糖値・血圧・心拍数の上昇を促進し、筋肉や血管の収縮力を上げる等、危険信号を脳に与えて外的から身を守ろうとする働きをします。

今の時代とは違い、人間は常に生き残るのに必死でしたから、アドレナリンのようなホルモンによってサバイバルスキルを上げていたわけですね。

インスリン

インスリンは、膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島と呼ばれる場所の、β細胞から分泌されるホルモンです。

インスリンの主な働きは、上がった血糖値を下げ、栄養を細胞に運ぶ事です。

人間は食べ物を食べると、その食べ物は分解され、血液中に糖(グルコース)の形で放出されます。これが、「血糖値が上がる」という現象です。

そのタイミングで膵臓が反応し、インスリンを血中に放出て、グルコースと結合することによってグルコースを肝臓や筋肉、脂肪などの細胞に運んでいく事になります。

つまり、「血液中のグルコースが減る」=「血糖値が下がる」という事ですね。

もっと詳しい説明に関しては、こちらの記事で解説しています。

グルカゴン

グルカゴンは、インスリンと同じく膵臓のランゲルハンス島から放出されますが、α細胞から放出されるホルモンです。

グルカゴンの役割は、血糖値を上げる事です。放出される場所は同じでも、インスリンの役割とは真逆です。

血液中のグルコースが減ってくると、膵臓はグルカゴンを分泌させて、脂肪細胞に蓄えられていた糖(グリコーゲン)やアミノ酸を糖新生(グルコースへ変換する事)させて、血液中の糖を確保しようとします。

特にあまり炭水化物を摂らないケトジェニックダイエットや、高たんぱく低糖質食を行っている人には多く分泌されているホルモンです。

性ホルモン(男性ホルモン・女性ホルモン)

男性ホルモン・女性ホルモンはともに、脳下垂体で分泌される性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)によって性腺が刺激されることによって分泌を促されます。

男性ホルモンは別名アンドロゲンとも呼ばれますが、代表的なものとしてテストステロンがあります。

テストステロンは男性的な特徴や精子形成、筋肉の発達に密接にかかわるホルモンです。

女性ホルモンには二種類あり、エストロゲンとジェスターゲンとに分かれます。二つのホルモンにはそれぞれ役割がありますが、基本的には女性の生殖機能を調整し、女性的特徴のある体づくりに貢献します

男性、女性とついていますが、どちらのホルモンも男女両方に存在します。ただ、男性ホルモンは男性に多く、女性ホルモンは女性に多く見られるために、この名前がついています。

テストステロンに関してはより詳しい話をこちらでしています。是非参考にしてください。


さて、それぞれのホルモンを簡潔に説明していきましたが、これらのホルモンはほんの一部でしかありません。

次の項目では、内分泌系と共に、どのようなホルモンが分泌されているかを紹介していきます。

内分泌系とホルモン

ホルモンは、基本的に「内分泌系」という、体の諸所にある場所から分泌されます。しかし、ホルモンの種類は膨大な数があり、全てをここで紹介しても頭が混乱します。主要な内分泌器官を紹介すると…

  • 視床下部ホルモン
  • 脳下垂体ホルモン
  • 甲状腺ホルモン
  • 膵臓ホルモン
  • 副腎(副腎皮質・副腎髄質)ホルモン
  • 腎臓ホルモン
  • 性ホルモン

などなど。

ものしりくまさんものしりくまさん

こんなん多すぎて覚えられないってーの

と思うかもしれませんが、全ての名前を覚える必要はありません。

主要なホルモンがどのあたりから分泌されているかをホルモンの働きと一緒に覚えておけば、自分の体をより良くコントロールすることができると思います。

視床下部・脳下垂体ホルモン

視床下部ホルモン:

  1. ホルモン放出・抑制ホルモン(ホルモンの分泌を調整する)
  2. バソプレシン(利尿作用を抑制)
  3. オキシトシン(子宮に関与)視床下部・脳下垂体

脳下垂体ホルモン:

  1. 成長ホルモン(骨・細胞の成長)
  2. プロラクチン(母乳生産等)
  3. メラトニン(生活リズムを調整)
  4. その他内分泌器官の分泌を刺激するホルモン(性腺刺激ホルモン等)

甲状腺・副甲状腺のホルモン

甲状腺・副甲状腺のホルモン:甲状腺・副甲状腺

  1. 甲状腺ホルモン(代謝の促進・コレステロール値のコントロール・身体の成長の促進等)
  2. カルシトニン(血中カルシウム濃度を向上、骨の形成)
  3. パラソルモン(カルシウムの代謝に関与)

膵臓のホルモン

膵臓のホルモン:胃と膵臓

  1. インスリン(血糖値の調整・グルコース・脂肪酸・アミノ酸などの栄養の運搬)
  2. グルカゴン(血糖値の上昇、アミノ酸の糖新生、脂肪を分解等)

副腎(皮質・髄質)ホルモン

副腎皮質のホルモン(副腎の90%を占める):腎臓と副腎

  1. アルドステロン(体内水分の調整、血圧調整)
  2. コルチゾール・コルチゾン(血糖値を調整、アミノ酸・脂肪の糖新生)
  3. アンドロゲン(筋肉の発達、主に女性において働く)

副腎髄質のホルモン(副腎の10%を占める):

  1. ノルアドレナリン(血管の収縮作用、血圧の上昇)
  2. アドレナリン(心拍数・血圧上昇、肝臓のグリコーゲン分解)
  3. ドーパミン(脳の覚醒作用、交感神経刺激)

腎臓のホルモン

腎臓のホルモン:

  1. レニン(強い血管収縮作用・血圧上昇)
  2. エリスロポエチン(赤血球の増殖、酸素運搬能力向上)

これでもまだ全部紹介しきれていません。本当に幅広い種類のホルモンが人間の中で交互に作用し合い、身体を調整してくれているのです。

まとめ

僕たちの体の中で、健康な体を保つために働いてくれているホルモン、および内分泌器官。多くの働きがある事がわかっていただけたでしょうか。

人間の体は本当にデリケートなものなので、自分で完璧に管理するのは非常に難しい事です。

しかし、多少の知識を持っていると、体に不調が起こった時に何が原因か、身体で何が起こっているかを理解する上で役に立つことになります。

健康な体を維持するためにも、頭の隅にホルモンの基礎知識を置いておいてもらいたいです。