共役リノール酸(Conjugated Linoleic Acid, 以下CLA)は、通常の食事からは殆ど摂る事の出来ない、多価不飽和脂肪酸の一種です。

サプリメントの形で摂られる事が多いCLAですが、体内での役割や効果は、ダイエットやトレーニングを行っている人にとって非常に役立つものです。

この記事の要点
  • CLAはオメガ6脂肪酸の一つで、脂肪燃焼や筋力向上の効果が見られる。
  • 副作用として、インスリン抵抗性を上げる可能性がある。
  • CLAは乳製品や鶏肉・牛肉、オリーブオイルなどに見られが、ごく少量のためサプリメントでの摂取が望まれる。
  • 摂取量は2gから6gほどを目安に、食事と一緒に摂る。

共役リノール酸(CLA)とは

細胞と物質の働き

共役リノール酸(CLA)は、不飽和脂肪酸の中のオメガ6脂肪酸の一種であり、その多くは人体では合成する事の出来ない物質です。

共役、という言葉どおり、オメガ6脂肪酸であるリノレン酸が二重に結合した形となった物質の総称が、CLAです。

必須脂肪酸の一つではありますが、体内で合成することができないために、食事などからの摂取が必須です。

CLAは近年になって脂肪燃焼効果や代謝促進、筋量アップなどの効果が注目され始め、サプリメントを摂取する人も増えてきているようです。

CLAの役割と効果

トレーニングと脂肪燃焼

CLAの主な役割は、3つあります。

  1. 体内の脂肪の代謝を促進する
  2. 脂肪細胞への栄養の吸収を阻害し、体脂肪が増えるのを防ぐ
  3. 脂肪のエネルギー源としての効率を上げ、筋量増加効果をもたらす

脂肪酸代謝の改善

CLAは、リポ蛋白リパーゼと呼ばれる酵素の働きを阻害し、脂肪細胞への脂質の吸収を抑えます

その代わりに、使われない脂質は筋肉細胞に回され、脂肪酸を効率的に燃焼させることができるのです。

例えば、2001年に行われた研究では、53人の健康状態の良い男女を対象にして、12週間のCLA摂取実験を行った結果として、オレイン酸やパルミチン酸、ステアリン酸などの飽和・不飽和脂肪酸の代謝が改善されたとの報告がされています[1]。

また、同年行われた実験では、8週間の間CLAを摂取した22人の被験者の体内で、血中脂質のリン酸やトリアシルグリセロール等の脂質濃度が上がり、脂質の代謝が改善されていた事が発見されています[2]。

脂肪燃焼・ダイエット効果

CLAといったらコレ!という効果が、脂肪燃焼の促進と、ダイエット効果です。

先ほど取り上げたように、CLAはリポ蛋白リパーゼという酵素の働きを抑制することで、脂肪細胞に脂質をため込むのを防いでくれます。

更に、CLAはホルモン感受性リパーゼと呼ばれる酵素にも働きかけ、貯蓄脂肪を積極的にエネルギーに変える働きを強める効果もあります。

この二つの効果から、

  • 脂肪が溜まりにくくなる
  • 脂肪が減りやすくなる

という、ダイエットや体づくりをしている人にとっては素晴らしい二重の効果を発揮するのです。

2000年に発表された研究では、60人の肥満被験者を対象にして12週間の実験を行ったところ、CLAを摂取していたグループは摂取していないグループよりも体脂減少していた、との結果が得られています[3]。

[1]、[2]の実験でも同じように体脂肪の減少がみられています。

筋量・筋力増加

ホルモン感受性リパーゼの働きは脂質を分解する事ですが、血液中に脂肪酸の形(エネルギーとして使いやすい形)で分解した脂肪を放出するのです。

血液中にエネルギー源となる脂肪酸を放出することで、トレーニング中のパフォーマンス・筋持久力の向上、更には間接的な筋量増加にも期待ができます。

2007年に行われた実験では、男性19人、女性20人の被験者群を対象に、半年間クレアチンとCLAを摂取させトレーニングを行わせたところ、筋力の向上と体脂肪率の減少が見られたとの報告があります[4]。

CLAの副作用

ほとんどの人の場合、副作用のような症状を訴える事はありませんが、2007年に行われた研究において、インスリン抵抗性と、肝臓での脂肪合成の増加を示唆する結果が報告されています[5]。

この研究では、L-カルニチンとCLAをともに摂取させて行われていたため、CLAだけの働きかはわかりません。

しかし、脂肪燃焼の促進のためにL-カルニチンはCLAとともにサプリメントに入っている事が多いので、もしも高血糖や脂肪肝の症状が現れた時には、L-カルニチン及びCLAの摂取は控えるべきかもしれません。

*L-カルニチン:アミノ酸であるリジンが変化してできる物質。細胞内での脂質代謝に重要で、様々な健康効果がある。

インスリン抵抗性って?

インスリンの分泌のされにくさの事。インスリン(膵臓ホルモン)は主に血糖値のコントロールを行っていますが、インスリン抵抗性が高いと、インスリンの分泌が上手く行われず血糖値が高い状態が続いてしまいます。インスリンについてはこちらの記事でより詳しく説明しています。

CLAが含まれる食品とサプリメント

栄養豊富な牛乳

CLAは乳製品に良く含まれる脂肪酸です。その他肉類や卵にも見られます。

■牛乳
■チーズ
■ヨーグルト
■牛肉・鶏肉
■卵

多くの食品に含まれてはいますが、実際に体重減少効果を期待するには、食事からの摂取だけでは十分ではありません。

サプリメントが一番効率的な手段ですが、「共役リノール酸」と単体で売っているサプリメントだけでなく、他の成分とブレンドした脂肪燃焼サプリメントして売っている事も多いです。

どちらを選んでも良いですが、コストパフォーマンス的には単体でそれぞれのサプリメントを買った方が良いと思います。

それが面倒な人はブレンドでも問題ないでしょう。

摂取量とタイミングについて

CLAの摂取量については様々な意見があり、研究でも特定の量が用いられることはありません。

およそ2g~6gほどが目安となっているようですが、3.4g以上は体脂肪減少に効果が見られないという実験結果もあるため、3.4g以下ほどから摂取を始めることをお勧めします。

タイミングは特に決まっていませんが、食事から摂れる脂質と一緒に摂る事で吸収率が良くなるため、脂質が多めの食事と共に、一日に2、3回に分けてCLAを摂りましょう。

まとめ

CLAのポイント
  1. 不飽和脂肪酸の一種で、脂肪燃焼・脂肪代謝改善・筋力増加効果が期待できる。
  2. インスリン抵抗性と肝臓の脂肪を増加させる可能性があるので注意。
  3. 食事からは殆ど摂れないため、効果を実感するならサプリメントの方が良い。
  4. 一日3.4g以下から、食事と一緒に摂取し始めよう。

体脂肪燃焼効果・ダイエット効果は魅力的ですが、簡単に痩せる事はできません。あくまで、サプリメントとしての効果しか発揮しないため、しっかりとトレーニングを行い、食事計画を立てていないと、効果は実感できないでしょう。

まずは、基本的なことを頑張ってからサプリメントを摂りましょう。

脂肪燃焼サプリメントを探している方はガルシニアについての記事も合わせて参考にしてください。

参考文献

  1. Smedman, A and B Vessby. (2001). Conjugated linoleic acid supplementation in humans–metabolic effects. Lipids. 
  2. Mougios, V., et al. (2001). Effect of supplementation with conjugated linoleic acid on human serum lipids and body fat. The Journal of Nutrition and Biochemistry
  3. Blankson, H., et al. (2000). Conjugated linoleic acid reduces body fat mass in overweight and obese humans. Journal of Nutrition. 
  4. Tarnopolsky , M., et al. (2007). Creatine monohydrate and conjugated linoleic acid improve strength and body composition following resistance exercise in older adults. PLos One.
  5. Yonei, Y., et al. (2007). A double-blind, randomized controlled trial (RCT) of L-carnitine and conjugated linoleic acid-based health food and health claims. Anti-Aging Medicine.