ブリストル大学の研究者によって発表された論文によると、極度に偏った食事生活は、若年患者の失明・視力喪失の原因になる可能性がある事が示唆されています。

研究者は、視力低下症状と質の悪い食生活を伴う患者において、失明を回避するために栄養視神経症の早期的な考慮を呼び掛けています。

偏った食事生活は失明・視力低下に繋がる可能性

目・視力

栄養視神経症は、視力の維持に重要な視神経の機能不全であり、早期に発見された場合には治療が可能ですが、治療されないまま放置されると神経の損傷に繋がり、最悪の場合失明する可能性があります。

イギリスのような先進国では、栄養視神経症の主な原因は、胃や腸などの消化管の問題や薬等の影響で、重要な栄養素の吸収が阻害される場合です。

先進国では食糧供給の状態は良いため、食事が原因となる事はあまり一般的では無く、貧困や干ばつ、戦時下等にある国は、栄養失調や栄養視神経症との関連性がより高い傾向にあります。

今回の研究で検査された十代の若年患者は、BMI・身長は通常であり、栄養失調の兆しもなく薬の摂取も行っていませんでした。

初期試験において、患者は大赤血球性貧血(赤血球の形質異常による貧血)と低い値のビタミンB12を示し、ビタミンB12の注射と食事へのアドバイスが成されましたが、その一年後には聴力低下と視力低下の症状が進行しており、原因は判明されませんでした。

患者が17歳の時には、症状が非常に悪化しており、失明寸前にまで至っており、症状としてビタミンB12欠乏症、低レベルの銅・セレン、高レベルの亜鉛、ビタミンD値の減少と骨ミネラル密度の低下が見られました。

患者は中等学校(日本での高等学校にあたる)が始まり、チップスやクリスプ、パンや加工肉などの偏った食生活を送っており、症状が診察される頃には患者は失明していました

研究者は、患者のジャンクフード食とビタミンとミネラルの制限的摂取が、栄養視神経症の発病の原因であると結論づけており、ジャンクフードの蔓延と菜食主義の広まりによる栄養欠乏の傾向から、将来的な栄養視神経症患者の増加を懸念しています。

研究チームは、喫煙や飲酒状態の質問以外にも、食事内容などについても臨床試験の一部として調べる事を推奨しており、症状の早期発見と治療を促しています。

参考文献

  • Harrison, Rhys., et al. (2019). Blindness Caused by a Junk Food Diet. Annals of Internal Medicine. DOI: 10.7326/L19-0361