ここ数年で筋トレが流行に乗り出して、多くの方たちがそれぞれの目標を志してトレーニング・エクササイズを始められているようです。それ自体は嬉しいことではありますが、最初の知識が少ない状態で犯してしまう失敗というのも多いものです。この記事では、僕自身がトレーニングを始めたての頃に体験した「し過ぎ」の失敗を3つ紹介します。

トレーニング初心者が陥りやすい3つの失敗

1.タンパク質だけを摂っている

タンパク質を摂り過ぎていてもいけません。

僕が最初に犯した失敗はタンパク質ばかり摂っていて、他の栄養を軽視していたことです。高校に在籍していた際、体育の授業で教師が「筋肉をつけて強くなるにはタンパク質を摂らないとだめだぞー」と言っていたことをよく覚えています。

確かにタンパク質は筋肉をつけるだけでなく髪や肌など人間の表面を形成するためにも非常に重要な栄養素ですが、だからと言って炭水化物や脂質を無視して良い理由にはなりません。

炭水化物

炭水化物は日々のエネルギー源として人間の内臓や脳、そして筋肉でグリコーゲンという物質として補填され、必要な時に使用されています。炭水化物を必要十分にとっていなければ、トレーニングにおいて持っている筋力が十分に発揮されません。結果的に良質な運動を行うことができず、効率的に筋肉をつけることができません。勿論、日常的な仕事、勉強、会話においても、炭水化物が十分に供給されていないと脳が正常に働いてくれず、集中力も保てません。

脂質

脂質も同じように必要な栄養素です。脂質=太るというイメージを持っている方も多いかもしれません。確かに、タンパク質、炭水化物は共に1gにつき4kcalですが、脂質においては1gにつき9kcalあり、摂りすぎればカロリー過剰摂取となって脂肪が増える事に結びつきます。ですが、ある程度の量を守っていればむしろダイエットやトレーニングの強い味方になってくれる、ミクロ栄養素の宝庫です。詳しい有用性に関しては脂肪酸のトレーニング・ダイエットにおける重要性で紹介しています。

他にもタンパク質以外に注目すべき栄養素は様々ありますが、初心者の方はまず三大栄養素を意識して食事を見直すといいと思います。

2.トレーニングをやり過ぎている

トレーニングをしすぎると良い事はありません。

トレーニングを始めたての頃は、どうしてもやる気が先行してしまってついついやり過ぎてしまう方も多い事でしょう。かくいう私も毎日毎日休みなく、一日二回、三回と汗を垂らしながらアーノルドシュワルツェネッガーの美しい身体を夢見てトレーニングを頑張っていました。まだ初心者の間はそれでも筋肉はついていく人が多いかもしれませんが、トレーニングの強度が上がってくると問題が出てきます。

筋肉を大きくするには「回復」という過程が必要不可欠になります。「超回復」という言葉を一度くらいは聞いたことがあるかもしれませんが、トレーニングで傷ついた筋肉を回復させる期間を設けてあげる必要があるということです。

筋力トレーニングというのはまさに筋繊維を傷つけて、身体の危険信号に働きかけて無理やりその環境に適応させてるというなかなかハードな行為なのです。

ですから、十分な休暇期間が取れなければ十分なパフォーマンスも発揮できないということです。人間と同じですね。疲れているときは休ませるのが一番で、昔のような根性論でどうにかなるほど筋肉は大雑把ではない、ということを記憶してほしいと思います。

どのくらい筋肉を休めればいいのか、というのはまた別の記事で話そうと思います。

3.好きな部位ばかり鍛えている

最初にベンチプレスばかりしてしまうのは典型的なミステイクです。

これは2つ目の項目と厳密には同じことを言いたいのですが、同じ部位を十分に休ませずに鍛えると、筋肉が回復せずにサイズは大きくならないばかりか、筋力の低下も起こります。

ある研究[1]では、2日毎に上腕二頭筋をトレーニングを20日間続けた結果、トレーニング日8日目の時点で二頭筋の筋力の低下が見られたという報告がされています。

僕の場合、始めたての頃は二頭筋を二日に一回は鍛えていました。勿論最初は筋肉が育っている気がしていたので続けていたわけですが、ある時を境に成長が止まり、常に腕に気だるさを感じているような時期がありました。

脚のトレーニングの重要性

脚のトレーニングを避けるのも、もったいない事です。脚のトレーニングは、体全体の筋肉の成長と言っても過言ではありません。太腿の筋肉は、実は人の体で最も密度の高い筋肉群です。トレーニングを行うと、筋肉や骨などを形成するのに必要なホルモンの一つである、「成長ホルモン」が分泌されます。その成長ホルモンは、刺激される筋繊維が多ければ多いほど沢山分泌されるので、筋密度が高い脚を鍛えるとホルモンの分泌が促進され、全体の筋肉の成長に繋がるというわけです。

初心者に限らず、上半身ばかり鍛えていて下半身を鍛えない方もいます。僕もトレーニングの二年目ほどまで脚は全く鍛えなかったのですが、友人から脚が細い事を指摘されてから少しずつ鍛え始めた身です。他人からもわかるほど、見栄えが悪くなってしまうということです。


胸や二頭筋などは体の正面にあるということで、目に見えやすい=成長が感じられやすい部位なんです。ですから、トレーニングをするときも意識をしやすいし成長を感じやすいから、つい鍛えすぎてしまう傾向にあります。本当に身体を変えたいという想いを持ち合わせているなら、「鍛えた気になっている」という自己満足感は捨て、全体的にバランスよく鍛えることが成長への第一歩です。

まとめ

さて、今回は僕の体験から初心者が避けるべき事を3つ挙げてみましたが、理解していただけたでしょうか。するべきことをまとめてみると…

  1. タンパク質だけでなく、炭水化物、脂質をバランスよく摂取する。
  2. 筋肉に回復する時間を与えてあげる。
  3. 好きな部位ばかりでなく大きな部位もバランスよく鍛える

少しでも参考になれば幸いです。では、また。


参考文献

1. Krentz, JR & JP Farthing. (2010). Neural and morphological changes in response to a 20-day intense eccentric training protocol. European Journal of Applied Physiology. 110(2), 333-340. Retrieved from https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed /20495928