コーヒーに関しては、これまでに多くの研究が成されてきて、トレーニングやダイエット、健康・長寿などへのメリットが報告されてきています。

今回発表された研究では、コーヒーの褐色脂肪への働きと、その影響に注目して行われました。

この記事のポイント
  • コーヒーは、人間の褐色脂肪を刺激する
  • ダイエットや減量を助ける働きをする
  • 肥満や糖尿病といった生活習慣病への改善策にもなる

コーヒーの褐色脂肪への働き

コーヒーは、褐色脂肪へと働きかける事で、カロリーの燃焼を促す効果があります。

イギリスのノッティンガム大学で行われた研究では、これまでで初めてとなる、人間の中の「褐色脂肪」を刺激する物質についての実験を行いました。

褐色脂肪とは?

褐色脂肪組織(Brown Adipose Tissue、BATとも)の事で、人間と他の哺乳類に見られる二種類の脂肪の一つです。

元々は、幼児と冬眠中の哺乳類特有であると認識されていましたが、近年になって成人の体内にも存在している事が発見されました。

主な働きとして、寒さ等の刺激に対して反応し、カロリーを燃やすことで体温を上昇させる働きがあります。

もう一つの脂肪は白色脂肪組織と呼ばれ、褐色脂肪細胞とは逆に過剰なカロリーを体に蓄える働き持っています。

シンプルに言えば:

■褐色脂肪組織→カロリーを燃やす
■白色脂肪組織→カロリーを蓄える

となります。
BMI(肥満度指数)が低い人ほど、この脂肪細胞が多く体にある傾向にあるようです。
褐色脂肪は糖質や脂質の燃焼にも関わっているため、体内での働きを活性化させることで、血糖値のコントロールや血中の脂肪値を改善し、同時にダイエットにも貢献することが判明しています。
しかし、これまで人体で褐色組織の活動を刺激する方法は発見されてきませんでした。

研究チームはまず幹細胞において、カフェインの褐色脂肪の刺激の有無と摂取量を調べ、その後に人間で同じような結果が得られるかを調べました。コーヒーはネスカフェのパウダー(一袋:1.8g)が使われ、カフェインの摂取量はおよそ65㎎でした。これはインスタントコーヒー一杯に含まれる平均的なカフェインの量です。

体内の褐色脂肪量と働きを調べるために実験で使われたのは、赤外線画像技術です。

褐色脂肪は主に首の周辺に存在している事が以前の研究で判明していたため、赤外線を首の部分に集中させることで、コーヒーの摂取後に褐色脂肪が熱を発したかどうかを見る事が出来ました。

研究の結果、コーヒーの摂取によって褐色脂肪は刺激される事が判明しました。

これからの課題になる事は、カフェインがこの作用の起因となっているのか、もしくはコーヒーに含まれるその他の物質が褐色脂肪の活性に関与しているのかを調査する事でしょう。

研究チームは早くもカフェインのサプリメントに対する調査を進めています。

コーヒーはダイエットの味方

研究ではカフェインの効果によるものかどうかがまだ明確ではありませんが、少なくともコーヒーの摂取による褐色脂肪の活性化という結果は人体で確認されています。

つまり、コーヒーを飲むことでダイエットの効果や、血糖値のバランシング作用が見込めるという事です。

医学の世界では肥満や糖尿病といった生活習慣病に焦点が当てられていますが、ダイエットを試みている人にとっても朗報です。コーヒー一杯を朝に飲む習慣をつけるといいかもしれないですね。

参考文献

Velickovic, Ksenija., et al. (2019). Caffeine exposure induces browning features in adipose tissue in vitro and in vivo. Scientific Reports. 9.