ダイエットのためにたくさん野菜を胃に詰め込んで、それでもお腹が空いている、といったことは、不思議なことに、起こります。
空腹というのは非常に複雑で、単純な足し算引き算といった数字での計算ではありません。多くの科学的要素も関わっています。
消費カロリーよりも少ないカロリーを摂取するというダイエットをしている時は、多少なりとも空腹になりますよね。自分の精神とも戦わなければなりません。
ダイエットをする時には必ず「耐えぬかなければいけない事」がある程度あります。勿論お腹いっぱいになるはずの野菜を食べるときにも、です。
食事を食べても空腹が治まらない
ダイエットをしている人は、野菜を沢山食べてお腹を満たそうとします。
野菜はローカロリーでダイエットに推奨される理由は理解できますが、多くの人にとって、野菜ばかりの食事はダイエットになりません。空腹は、胃を一杯にしている状態 vs. 胃が空っぽの状態のような単純なものではないのです。物理的に胃が空である、という事は結局空腹という仕組みの一部でしかありません。
野菜でお腹が満たされない理由の一つとしては、全ての野菜が脳に『お腹いっぱいだよ』という信号を送ってくれるわけではないからです。
食欲は、タニサイト(tanycyte)と呼ばれる脳細胞によってコントロールされています。タニサイトは栄養素を見つけ出し、食べている食事の情報を脳に送ります。実はこの細胞、アミノ酸に反応しているのです。レタスには反応しません。
アルギニンやリジンといったアミノ酸は、特にタニサイトに良く反応を示し、30秒ほどの短い時間を経て、脳内の食欲管理部に情報を知らせるのです。
アルギニンとリジンを多く含む食品
- サーロインステーキ
- 鶏肉
- レンズマメ
- アーモンド
- 鯖
- アボカド等
もしダイエットをしている時に、このような食事をしてカロリーが気になるなら、サプリメントを利用するのも良いでしょう。
空腹をコントロールする他の方法
1.睡眠をもっととる
5時間以下の不十分な睡眠は、翌日に385kcal多くのカロリーを消費する事が研究で示されています。
寝不足は脳の中枢神経系を狂わし、体内時計を乱します。これによってレプチン(満腹ホルモン)とグレリン(空腹ホルモン)の統制に影響が及びます。つまり、悪い睡眠習慣は、カロリーの詰まった食べ物への欲望を呼び起こすのです。
もし眠りに上手くつけないのなら、睡眠導入剤などのサプリメントを摂る事をおススメします。
2.タンパク質をもっと摂る
タンパク質は空腹を減らす最高の栄養素だと言われています。空腹を抑えたいのなら、先ずはタンパク質の摂取量を増やすところから始めろ、と言われるほどです。
昔から言われる、一日体重の2倍のタンパク質を摂る方法は、肥満気味の人には効果があります。炭水化物や脂質とは違い、タンパク質は体に貯蓄されにくいめ、2倍以上の量を摂る事も良いとされています。
特に夜空腹を感じる人には、吸収が遅いカゼインプロテインを薦めます。空腹にも筋肉の分解にも抑制効果があるので摂って損はありません
3.正しい食物繊維を摂取する
野菜には食物繊維が多く含まれているから、それで野菜ダイエットをしようとしているのかもしれません。しかし、溶性でゲル状の繊維には、一番強力な食欲抑制反応があるのです。
そういったタイプの繊維は消化管の内壁を多い、インクレチン等の消化管ホルモンを通して空腹を抑える働きをします。溶性・ゲル状の食物繊維は以下:
- β-グルカン(オート麦、オート―ミール)
- メタムシル(オオバコ)
- グルコマンナン(コンニャクイモ)
- グアーガム(種子の繊維)
- ペクチン(リンゴの繊維など)
普段の食事からの摂取も可能ですが、粉上になっているサプリメントもあります。摂るのが難しいと感じたらサプリメントも試してみましょう。
4.ビタミン・ミネラルを摂る
妊婦さんがビタミン・ミネラル不足で食欲を感じる、という話は聞いたことが無いでしょうか。
脂肪を減らしていくダイエットで湧いてくる食欲も、それに関連しています。ダイエットの中には食事のバリエーションが非常に制限されており、ビタミンやミネラルといった微量栄養素が足りなくなることがままあるのです。体は足りないものを求めてくるのです。
Bill Lagakos教授は、「微量栄養素の欠乏はレプチンへの抵抗力を誘い出す」と述べます。カロリーばかりの加工食品はビタミンやミネラルに乏しく、結果、体が足りない栄養素を求めてもっと食べるように命じるのです。欧米の人々が食べ過ぎる理由もそこにあるのかもしれません。
ダイエットをしている人は特に栄養不足になりがちなので、しっかりとサプリメント等で栄養補助をすることがダイエット成功への一歩になるでしょう。
まとめ
空腹の原因と解決法を話してきましたが、ご理解いただけたでしょうか。要点をまとめると…
- 空腹は胃を満たすことでは解消されず、アミノ酸を摂る事で脳に満腹情報を伝える事ができる。
- 睡眠・タンパク質・正しい食物繊維・微量栄養素をしっかりととることで空腹は抑えられる。
空腹は普段の生活習慣や栄養摂取とも密接に関わっているので、もし空腹を抑えたい、ダイエットを成功させたいといった思いがある人は、意識して習慣を変えてみると良いでしょう。
では、また。
参考文献
- H K Al Khatib., et al. (2016). The effects of partial sleep deprivation on energy balance: a systematic review and meta-analysis. European Journal of Clinical Nutrition.
- Clark, Michelle J., and Joanne L. Slavin. “The Effect of Fiber on Satiety and Food Intake: A Systematic Review.” Journal of the American College of Nutrition. 32(3), 200-211. doi:10.1080/07315724.2013.791194.
- Shugart, Chris. (2019). Why Am I Still Hungry? Many experts recommend eating a pound or two of veggies per day to stay full. Here’s why that doesn’t always work.