学校や仕事場で疲れた次の日の休日は、つい寝すぎてしまいますよね。場合によっては半日以上寝てしまう人もいるようですが、それだけ寝ると身体への影響が心配になってきます。

実際のところ、多くの研究が、寝すぎは体に多くのデメリットをもたらす事を示しています。この記事では、寝すぎる事による悪影響と、改善方法を説明していきます。

そもそも何で寝すぎるのか?

寝すぎる原因のおおくは、不規則な生活や睡眠不足です。
寝すぎる原因
  • 過眠症
  • 閉塞性睡眠時無呼吸症
  • その他アルコールの摂り過ぎ、常用薬の影響等
  • 肉体的・精神的な疲れ

「過眠症」「閉塞性睡眠時無呼吸症」という言葉があるように、実は寝すぎる原因は病気の可能性もあります。ただ、そのような病気の場合には、確実に日常生活に支障をきたしているので、症状を感じる人は病院に行った方が良いでしょう。

寝すぎのほとんどの原因は、日常生活のストレスからくる疲れや、肉体的な疲労、お酒の飲みすぎ、睡眠不足等の生活習慣によるものです。

それでは、寝すぎる事を繰り返していたら体にどのような悪影響があるのでしょうか?

病気や体への悪影響

糖尿病のリスク増加

約9000人のアメリカ人を対象に行った研究では、9時間以上夜に眠った人は、7時間眠った人に比べて50%糖尿病のリスクが高くなったという結果を出しています。

逆に、5時間以下しか眠らなかった人も、同じように糖尿病のリスクが上がった事が報告されています。

このように、睡眠時間が長すぎても短すぎても、糖尿病のリスクは上がってしまうため、ちょうどよい睡眠時間が求められるようです。

太る

寝すぎると、体重を増やす原因にもなるようです。近年行われた研究では、毎晩9~10時間の睡眠をとった被験者は、6年の期間で、7~8時間とった被験者のグループより21%肥満になる可能性が高かった、との報告が成されています。

睡眠が肥満に与える影響は、食事と運動の違いを考慮した場合でも、変わらなかったようです。

頭痛

全ての人には言えませんが、頭痛を感じやすい人は、休みの日などに長く寝ると、頭痛を感じる事があるようです。これは、寝すぎる事によって、脳内のセロトニンなどの神経伝達物質に影響が出るからだとされています。

日中に寝すぎる人も同様の作用が体の中で起こっており、朝に頭痛を感じる事があるようです。

また、寝ている間に人間は水分を放出しますが、水分の不足によって温度調節ができずに頭痛が引き起こされることもあります。

そのため、寝る前に水分を取るなどして対策をとる必要があります。

ところでセロトニンって?

セロトニンは、必須アミノ酸であるトリプトファンから作られる、重要な神経伝達物質の一つです。別名「幸福ホルモン」とも呼ばれ、神経の働きやストレスを抑え、肉体的・精神的に身体をリラックスさせる効果があります。

背中の痛み(腰痛)

腰痛を持っている人や、背中に痛みがある人は、布団に直行してしまいがちですが、それは逆効果です。長時間体を横にして欠航が悪い状態を保ってしまうと、背中の痛みや腰痛の原因になります。

背中の痛みに関する医者の意見も、今日では普段より眠るのは良くない事との事です。それよりも、運動による回復が推奨されています。

うつになる

不眠症の人にはうつ症状は見られるますが、うつ病の人のうち15%は過眠症でもあるのです。これは、先ほど述べたセロトニン等の脳内の神経伝達物質の働きが、寝すぎる事によって阻害されるために起こる事だと考えられています。

心臓病

72000人近くの女性を対象にした研究では、9~11時間夜に眠った女性は、8時間眠った女性に対して38%心臓病のリスクが高まっているという結果になりました。

原因に関しては、まだはっきりとした事は出ていないため、あくまで可能性の話です。しかし、被験者の数からみても、睡眠時間と心臓病の間には関係がある事が伺えます。

顔のむくみ

寝ている間に顔がむくんでしまうのは一般的な症状ですが、寝すぎるとその症状は悪化してしまいます。起床時のむくみの主な原因は、リンパの流れが滞る事によって顔にリンパが溜まってしまう事によるものです。

眠っている時は、起きている時に比べて顔の位置が下にありますよね。リンパが日中より顔に溜まりやすくなるのは、そのためです。長い時間眠る=リンパを長い時間顔にため込んでしまうということで、顔のむくみも治りにくくなります

リンパって何?

ここではリンパ管を流れるリンパ液の事を指します。体全身に張り巡らされるリンパ管を通り、免疫機能や、老廃物運搬機能を果たします。

眠っている間は体も動かないため、このリンパ液は本来流れめぐっているリンパ管を回らずに、管内で滞ってしまうのです。

体内時計の乱れ

睡眠時間が長くなると、体内時計も狂いやすくなります。体内時計の狂いは、メラトニンと呼ばれるホルモンの活動に影響を及ぼし、細胞への酸化ダメージを助長する可能性があります。

また、メラトニン自身が体内時計を調整するホルモンでもあるため、メラトニンの減少や不活性も体内時計の乱れに関係してくるでしょう。

また、体内時計が乱れると、日中の集中力の低下や倦怠感、疲労感などの原因になります。

脳の活動低下

「脳の老化」とも呼ばれますが、複数の研究で、9時間以上の睡眠による記憶力の低下、学力の下降、認知能力の低下などの悪影響が実際に出ている事が明らかになっています。

長く眠る、という事はそれだけ脳に負担を与えている事になります。人間はレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返して睡眠を取っています:

  • ノンレム睡眠→心身ともに休んでいる状態
  • レム睡眠→体は休んでいても脳は覚醒状態

つまり、睡眠時間が長いと、それだけ覚醒と休息が頻繁に繰り返され、結果的に脳が不安定な状態になって負担が重くなってしまい、老化が進むというわけです。

寝すぎを改善するための方法

寝すぎを改善するには運動をしたり、朝日をしたりとった、生活習慣に関わる部分を変えていかなければなりません。

ベストな睡眠時間を見つける

人によって合うダイエットが違うように、ベストな睡眠時間も人によって違います。

平均的には6時間から9時間ほどが推奨されていますが、9時間が体に合っている人もいれば、6時間で充分だという人もいます。

自分の体の反応を見て、どの位の睡眠時間が一番良いのかを見つけるべきでしょう。

二度寝をしない

二度寝をすると、余計に起きる時体のだるさを感じたと事はありませんか?実は、二度寝をする際にはノンレム睡眠に入りやすくなり、深い睡眠に陥りやすいのです。

二度寝から起きる時に深い眠りから体を起こそうとするため、余計に身体が重く感じるのです。

二度寝をしないためには、普段の生活の睡眠不足や生活リズムの乱れを改善していく必要があります。また、以下に挙げる運動・日光浴・スケジューリングも二度寝を避けるのに役に立ちます。

日中に運動をする

運動をする事で睡眠の質や睡眠時間を改善する事は、多くの研究で示されています。

どの位の運動をすれば良い?というのは、これまた人によりますが、サイクリングなどの有酸素運動を30分から45分ほど行う事で睡眠の質が改善されたとの研究があります。

ですから、少なくとも30分程度のウォーキング以上の事を毎日行う事で、睡眠時間・質ともに改善されることが期待できるでしょう。

日を浴びる

日光を朝に浴びる事は、体内時計を調節するのにも効果的です。朝しっかり日を浴びると、体内でのメラトニンの生成を促される事で、脳が「あっもう起きる時間か!」と反応してくれます。日を浴びるだけで体が勝手に起き始めてくれるのです

農民の古来からの風習である、「日の出とともに起きて日の入りで寝る」という生活習慣は、体を自然に起こすためには実はとても理にかなっている伝統習慣なのです。

スケジューリング

「朝起きたら何をするか」「この時間までには布団に行く」など、一日の計画を予め立てておくと、目的意識を持つことができ、自然に目が覚めるようになります

特に二度寝をしやすい人は、朝にすることを決めておくと効果的です。例えば、「朝は6時に起きて英語の勉強を一時間する」や「走りに行って熱いシャワーを浴びる」でも良いでしょう。どんな理由でも、自分にとって起きるに値する目的を持ちましょう。

シャワーを浴びる

シャワーを浴びる事で血行の改善に繋がり、体の機能が活性化されます。また、体の中の血液やリンパ液の循環が良くなるため、顔や体のむくみがある人は改善されやすくなります。

血液の循環を良くするには温かいシャワーが最適ですが、冷たいシャワーが良い方はそれでも良いでしょう。心地よく浴びる事ができる方を選ぶことで、ストレスなく一日を始める事ができます。

まとめ

寝すぎることで様々な悪影響が体に出てくる事は、分かっていただけたでしょうか。短期間では疲れや頭痛だけで済みますが、長期間寝すぎる毎日を送っている場合には、病気のリスクも上がっていきます。

どうしても体が疲れている時には長時間眠りがちですが、あえて体をいつも通り起こすことで、日中の活力、翌晩の睡眠改善などに繋がります。また、昼寝をしても良いでしょう。

大切なのは、睡眠時間を一定に保つことで体内時計を維持し、不規則な生活リズムにならないようにする事です。

この記事の要点
  • 寝すぎることで、病気などのリスクが高まり、様々な悪影響が出る
  • 日光を浴び、運動を行い、一日の始めを良いものにする事で、睡眠時間の改善に繋がる