バーミンガム大学による新たな研究では、人は一人で食事をしている時よりも、友人や家族と食事を共にしている時の方が多く食べる傾向にあり、先祖時代への回帰的現象である事が示されています。この現象は「ソーシャルファシリテーション」と呼ばれます。

友人や家族と食事をする時は多く食べがちになる

家族・食事

これまでの研究によって、他の人と食事をする時には48%までいつもより多くの食べ物を摂取する事が判明しています。

バーミンガム大学の専門家は、イギリスとオーストラリアの研究者らを集め、既存の42の社交的食事に関する研究を調査する事で、だれかと共に食事をする事が食事摂取量の増加に与える強い影響を確かめました。

古代の狩猟者たちは食べ物を分け、シェアをする事で食糧難の時代を乗り越えていたことが分かっており、この生存メカニズムが今日の私たちの社会的食事における摂取量増加に反映されているのではないかと考えられています。

友人や家族と共に食事をする事で摂取量が増える原因は3つ取り上げられています:

  1. 他人との食事は楽しいものであり、社会的な場で食べる事の大きな恩恵感によって消費を増加させるため
  2. 社会的規範が、同伴者がいる場合では過食を許可し、一人の場合は拘束力を与えるため
  3. 食事を提供する行為は友人や家族からの賞賛と評価に繋がり、社会的繋がりを強めるため

この「ソーシャルファシリテーション(社会容易化)」と呼ばれる現象の食への影響は、知り合いでない人との食事では確認されていません。

よく知らない人への印象をよくするために食べる量を少なくする事で、良い像を作り上げようとしている場合、ソーシャルファシリテーションの効果は薄くなっているのではないかと推測されています。

他の研究結果では、何をどれだけ食べるのかは他人へ伝達したい印象のタイプに基づいて決めている事が多く、特に男性と食事を共にしている女性は食べ過ぎに注意を払う傾向がある事が示されています。

他の生物種と同様に、人間は同一の食物資源を分ける事で知られており、昔の祖先のように狩猟・採集を行わなくなった現在でも、より効率的な食糧捜索ができるように形作られたメカニズムは、今日の食事行動に現れているのだと、研究者は説明します。

ネズミや鶏といった言った他の生物種にも同じプロセスは存在し、他の個体よりも多く食べる個体は、食糧保障に影響が出ないように社会的排斥も行われるようです。

ソーシャルファシリテーションと呼ばれるこの現象は、社会的食物分配の自然副産物として捉えられ、平等に分配をする事で社会的結束と食糧保障を強化する生存方法として使用され、今日でもその精神的文化が続いていると考える事ができます。

参考文献

  • Ruddock, K. H., et al. (2019). A systematic review and meta-analysis of the social facilitation of eating. The American Journal of Clinical Nutrition. DOI: 10.1093/ajcn/nqz155