ルイジアナ州立大学とアデルフィ大学の学者たちによって行われた研究によって、体力測定を行う事によって生徒たちの体育の授業に対する態度は殆ど変わらず、学生たちの多くにとってカリキュラム外の体力測定は時間の無駄である事が示されています。
学生にとって体力測定は時間の無駄である
二大学によって行われた研究によると、体力測定は生徒の体育の授業への関心や楽しさを向上させることは無く、生徒の授業への参加態度や感情に変化はほとんど見られない事が明らかにされています。
更に、体力測定は運動や体育に関する知識を提供する事は稀であり、行われる際にも大して注意が払われる事もないため、授業の時間を使った測定を行うよりも授業のカリキュラムに沿った知識と技術の享受を優先するべきである事も主張されています。
これまでに行われてきた研究では、生徒と教師の体力測定に関する記憶に基づく良い影響と悪影響に焦点が置かれていました。
今回の研究は、楽しさや怒り、つまらなさなどの感情に焦点を当てて、男子学生・女子学生それぞれにおける態度・感情の変化を調べています。アメリカのミドルスクール(中学校)の学生273人を対象に、二週間以内に行われた体力測定を基に、体育の授業に対する態度調査と感情表出リストを埋めさせました。
結果は測定の種類によって様々なものが出ました。心肺機能の測定を行う長距離走などの測定では、良い成績を出した生徒は怒りを示す事は少なく、特に男子生徒において良い成績はより喜びや楽しさを示し、反対に女子生徒は良い成績を示してもポジティブな態度には繋がりませんでした。
逆に、長座体前屈において体の柔軟性を測定するテストでは女子生徒のがよりポジティブな感情を表しましたが、男子生徒には影響を示しませんでした。
また、カールアップテスト(腹筋運動)の測定に対しては、男女両方において怒りの表出が見られました。
測定された影響の大きさとして、男子学生の体育の授業に対する態度・感情変化はわずか12%にとどまり、女子学生においてはたった4%の変化しか見られませんでした。
しかし研究者たちは、体力測定がもし運動カリキュラムの上で行われた場合にはより多きな影響が出るかもしれないと推測しています。
また、研究にはいくつかの制限的要素がありました:
- ある特定の時間の影響しか測定できず、長期的な影響を測定できていない。
- 体力測定を運動カリキュラムに統合する教師への助言が反映されていない。
- 親や保護者へスコアの提供はしておらず、測定結果を生徒の能力・知識・健康向上へ役立てていない。
以上のような制限から、体力測定と生徒の授業態度との相関関係は他の改善点を加える事で変化する可能性が示唆されています。
参考文献
- Simonton, LK., et al. (2019). Do fitness test performances predict students’ attitudes and emotions toward physical education? Physical Education and Sport Pedagogy. DOI: 10.1080/17408989.2019.1628932