野菜や果物の中には多くの必須栄養素が含まれていますが、野菜はファイトケミカル(phytochemical)と呼ばれる物質も豊富に含んでいます。

。この記事ではファイトケミカルの効能とダイエットとの関係性を分かりやすく説明していきます。

ファイトケミカルとは?

ファイトケミカルって?

私たちがいつも食べている野菜や果物の中にはビタミン、ミネラル、食物繊維など人体に必要な栄養素が多く含まれていますが、野菜はファイトケミカル(phytochemical)と呼ばれる物質も豊富に含んでいます。

ファイトケミカルというのは、植物全般が含む植物自身を守る働きを持つ化学物質で、人間の体に取り込まれたときにも効果を発揮する事で健康を改善する物質です。

ファイトケミカルには膨大な種類があり、効能も多種多様です。しかし、多くのファイトケミカルが持つのは、抗酸化作用と呼ばれるものです。

抗酸化作用

「酸化」というのは、鉄が錆びたりするあの化学変化で、物質が酸素と結びついた時に起きる物質の劣化、変質の事を指します。人間の体内でも常に細胞の酸化は起こっていて、放っておくと老化の促進やがん、生活習慣病の原因にもなる可能性があります。

多くのファイトケミカルに含まれている抗酸化作用は、それを「抗」するものですから、ある物質が持つ酸化を防ぐ特性の事です。

健康促進

多くの研究がファイトケミカルの健康促進効果を認めています。記憶・知覚能力の改善にフラボノイド、レーズンに含まれるポリフェノールには口内健康維持効果、肝機能の改善にピクロリブやクルクミンなどなど。ファイトケミカルを多く含む野菜や穀物の品種改良に主眼をおいた研究も実施されています。ビタミンC、ビタミンEなどの一部のビタミン・ミネラルも抗酸化物質として認められており、それぞれに抗酸化作用や代謝に関する作用が働いています。

脂肪燃焼効果も期待

2010年にJournal of Human Nutrition and Dieteticsによって公表された実験によると、植物性食品と体重には関係性がある事を示唆しています。研究では、54人の普通の体重の人と肥満体重の人が、フードダイアリー(食事記録)を3日間記録しました。更に研究者は、カロリー摂取や食の種類、ファイトケミカル指数(PI)などに注目して食事に関する調査を行いました。

ファイトケミカル指数とは、「一日に消費されたエネルギーの中で栄養価が高く、ファイトケミカルに富んだ食物からのエネルギーの割合」と定義されています。

研究の結果として、肥満体重の参加者はファイトケミカルの摂取量が少なく、低PIは高BMIと高酸化ストレス、ウエスト・ヒップのサイズに関係していたようです。研究の著者は、健康な大人において肥満率と酸化ストレスとPIは反比例の関係にあり、体重の変化とも関わっている、と結論付けています。

しかし、何故ファイトケミカルの摂取と体重の変化は関係あるのでしょうか。原因はいくつかあると考えられます。

ファイトケミカルとダイエット

痩せる効果もファイトケミカルには見られます。

血糖値

ファイトケミカルの摂取は血糖値を下げ、インスリンの過剰分泌を減少させる傾向があり、特に食事後のインスリン反応を管理する働きがあります。安定した血糖値は健康体重の維持と肥満、心臓病のリスクの低下を助ける働きがあります。

血糖値関連のファイトケミカルの例:フラボノイド(緑茶、ハチミツ、ワイン等)、ビタミンC(柑橘類、いも類等)、大豆たんぱく質(大豆類)、ファイトステロール(植物油全般)、プロアントシアニジン(ブドウの皮やリンゴ等の赤・紫色をした食べ物)

脂肪細胞への影響

ファイトケミカルの中には脂肪細胞のライフサイクルに直接影響を与えるものもあります。脂肪細胞の中の脂肪分解を促し、アポトーシス(細胞死)引き起こし、脂肪生成を抑えることで脂肪組織の量を減らす可能性がある事が分かっています。

脂肪細胞に関連するファイトケミカル:ゲニステイン(ソラマメ、コーヒー)、エピガロカテキン(緑茶、カカオ、ラズベリー等のベリー類)、クェルセチン(リンゴ、ケッパー、玉ねぎ等)、アホエン(ニンニク)

*エピガロカテキンはノルアドレナリンの分泌を増やす効果があるポリフェノールで、脂肪燃焼効果が特に期待されています。

*ブルーベリーなどのベリー類は特に抗酸化物質を多く含む植物類ですので積極的な摂取が推奨されます。

炎症

様々なファイトケミカルは慢性炎症を和らげることが多くの研究で判明してきています。肥満傾向にある人ほど炎症指標が高い傾向にあり、多くの研究者は炎症自体が体重の増加や健康被害を引き起こす要因の一つだと考えています。

炎症と関連するファイトケミカル:ビタミンC、カロテノイド・β-カロテン(人参、カボチャ、ホウレンソウ等)、フラボノイド

微生物(善玉菌)

ある実験では、試験用の食事にブルーベリーを取り入れることで、腸内炎症を抑え、有益なバクテリアの成長を促進したことが示されています。腸内細菌の不均衡性は炎症とインスリンへの反応を促すことで肥満を進める可能性も示唆されています。これが理由で、2009年の研究で微生物の補給が行われた肥満患者は補給しなかった患者に比べてはるかに多くの体重を落とせたのであると言えます。

微生物に関連するファイトケミカル(微生物):アントシアニン(ブルーベリー)、ラクトバシラス属微生物(キムチ、ココア、チーズ)、ビフィズス菌(ヨーグルト等)

まとめ

ファイトケミカルとダイエットの関係性について見てきましたが、ご理解いただけたでしょうか。要点をまとめると…

ファイトケミカルは植物全般に含まれる抗酸化性のある化学物質で、植物によって含まれていファイトケミカルは多岐にわたる

・様々な健康促進効果の可能性が期待されている

・ダイエットは血糖値安定、脂肪分解・貯蓄抑制、炎症緩和、善玉菌の側面で効果がある

ファイトケミカルがダイエットの万能薬とは思わない方が良いですが、色々な果物や野菜を食事に戦略的に取り入れることでダイエット効果、健康促進効果を得られる可能性は十分にあるという事を意識するのも一つの手段だと考えられます。今回紹介した以外にも多くのファイトケミカルを含む食物があるので、体重が気になる方や健康志向の方は生活に導入するのも良いかもしれませんね。

では、また。