Scientists at the Center for Interdisciplinary Research in Biology(CNRS)によって行われた研究では、睡眠時のδ波(デルタ波)の放出期間に活性化している神経が存在する事を明らかにし、長期記憶の形成において重要な役割を果たす神経集合体を発見しました。

寝ている間に脳が記憶を固定するプロセスの発見

記憶・認知能力・脳

人間が寝ている間には、海馬が起きている間と相似した活動を行う事で自発的に再活性化し、大脳皮質に情報を送る事で大脳皮質も反応をする仕組みになっています。

この反応の交換は多くの場合、「δ波」と呼ばれる静寂期間が続き、更にその後に「睡眠紡績」と呼ばれる律動的活動が行われます。

これらの活動が行われるのは皮質回路が固定化記憶(長期記憶)を形成するために認識する時ですが、新たな記憶形成が行われる場合のδ波の役割は未だ理解がされていません。

今回の研究では、δ波単一の静寂期間に何が起こっているのかにより焦点を当てて調査が行われました。

その結果、大脳皮質は完全に静寂を保っているわけではなく、いくつかの神経は活性化したままであり、集合体(情報を暗号化する共同活性体)を形成している事が判明しました。

この結果は全く予想外であり、これらの数少ない神経集合体は、他の神経が眠っている間に阻害を受ける事なく重要な情報計算を行う事ができる事が示唆されています。

更なる発見として、どの大脳皮質神経が活性化されたまま残るかは海馬の自発的再活性によって取り決められ、二つの大脳構造(右脳・左脳)の間の情報輸送の明確化も同様に再活性化によって行われるようです。

また、δ波が放出されている間に活性化される神経集合体は、日中に空間的記憶作業(自身の現在位置把握や環境・空間把握などに使われる)の学習に関与した神経によって構成されていることも明らかにされました。

これらの過程は記憶の固定化・長期化に関連している事が示されており、ラットにおける空間把握の実験でも、海馬の再活性に必要な神経が単離された場合にはラットは記憶を安定化させ、翌日には空間把握試験をこなすことに成功しています。

故に、δ波は神経集合体を選択的に単離させる方法として使われ、その集合体は海馬と皮質の情報伝達と皮質回路の再調整の期間に重要な情報を送る役割を担い、最終的に長期記憶の形成に貢献をする事が研究によって証明されたことになります。

参考文献

  • Todorova, Ralitsa and Michaël Zugaro. (2019). Isolated cortical computations during delta waves support memory consolidation. Science. DOI: 10.1126/science.aay0616