マイコプロテインを知っていますか?Quornというイギリスの会社が発明している、肉の代用品となる製品に使用されるタンパク質です。その成分は、なんとキノコ(mushroom)。

菌類由来のタンパク質なんて、と思われるかもしれませんが、海外のレビューを見ると好評を得ているようなのです。

しかし、トレーニングをしている人ならすぐに、「だけど筋肉をつけるならホエイプロテインだよな」と考えるはずです。実は最近行われた研究で、トレーニング後のマイコプロテインの摂取は、ホエイプロテインに含まれる乳タンパク質以上に効果があるという結果が出ているようです。

マイコプロテインは筋肉に有効

トレーニング後の筋肉の合成に有用である事が判明しています。

2017年にエクセター大学の研究によると、Quorn製品に含まれるマイコプロテインは、トレーニング後のアミノ酸のバイオアベイラビリティが乳タンパク質と同じであったという結果を出しています。

バイオアベイラビリティとは?

生体利用能などと訳されますが、簡単に言えば、人体における栄養素の利用効率を表す言葉です。ここでは、アミノ酸がどれだけ体の中に取り込まれて、筋肉を回復・合成する作用として使われたかを示しています。

そして同大学で行われた2019年の直近の研究では、なんと乳タンパク質よりもマイコプロテインの方が筋肉をつける作用が上回っていたという結果が出ています。

研究では、20人の健康的な、トレーニングを行っている若い男性を参加者として、激しいトレーニング後の乳タンパクの摂取したグループとマイコプロテインの摂取のグループに分けて、摂取後数時間の筋肉の合成率を調べました。

往来のホエイプロテインは乳タンパク質から成っていますから、この比較は非常に有意義なものであると言えます。

研究の結果として、乳タンパクを摂ったグループは筋合成率が60%上がっていたのに対して、マイコプロテインのグループは120%以上の筋合成率の上昇が見られていたとの報告がされています。つまり、マイコプロテインはより効率的な筋合成作用を持つ可能性があるのです。

非動物性タンパク質をトレーニングに選びたい人にとって、この研究は非常に有用な結果を出してくれたのではないでしょうか。

世界中で、健康と環境のために肉類の消費を抑えようとする動きがありますが、その動きに貢献する形で、今回の実験は成果を出したと言って良いでしょう。

非動物性タンパク質の可能性

勿論、この研究は短い期間での実験ですから、長い期間で、年齢・性別などの条件の変更も交えて行うとどうなるか、等のメカニズムはこれからの研究に期待されるところです。

僕たちトレーニーにとっても、乳タンパク質の二倍以上の筋合成を見せたマイコプロテインは非常に興味深いはずです。もしかすると、タンパク質の種類を変えたことで、新しい刺激が体に与えられて筋合成が高まったのかもしれません。可能性は広がります。

この記事のポイント
  • マイコプロテインはきのこ由来の菌性タンパク質である。
  • 研究では、マイコプロテインは乳タンパクより二倍の筋合成効果があった。
  • 長期的な影響はこれからの研究に期待される。
  • タンパク質の種類を変える事で筋合成が高まる可能性が考えられる。

参考文献

University of Exeter. “Quorn protein builds muscle better than milk protein.” 3 July, 2019.