最近ではビタミンB、Cなどのよく知られているビタミンに加えて、骨の形成に重要なビタミンDも注目されています。

そんなビタミンDですが、ダイエットやトレーニングに効果があるやらないやら、インターネットでは多くの情報が出回っています。実際に研究結果を見ていくと、筋肉や脂肪へのメリットも見受けられるようです。この記事では、研究結果をもとにできるだけわかりやすくビタミンDの効能と働きを解説してきます。

ビタミンDとは?

ビタミンD(カルシフェロールとも)はビタミンのうち、脂溶性ビタミンと呼ばれるもので、油に溶けます。また、水溶性ビタミンと違い、体内に蓄積されるので一日の間に頻繁摂取する必要はありません。

しかし過剰摂取による弊害もあるので、摂りすぎには注意が必要なビタミンです。

一般的に知られている効能として、骨の形成の補助をする役割があります。骨を作るミネラルであるカルシウムやリンの吸収を助け、特に授乳期や幼児期に重要だとされています。

では、脂肪を減らしたり筋肉をつけるのに有用な効果はあるのでしょうか。

ビタミンDの筋トレ・ダイエット効果

筋力・筋量の向上

ビタミンDは細胞の成長を助ける働きがある事が研究によって示されています。また、細胞の増殖や変換、修復に関わる遺伝子も同じようにビタミンDによって調節が行われています。

このように書くとあまり筋肉に関係ないように感じられますが、細胞の成長・増殖・修復は筋肉の形成や成長に直接的に関係している要素です。

ですから、それを助けたり調節しているビタミンDは、間接的とは言え筋肥大や、傷ついた筋肉の修復を行う上で大事な栄養素と言えます。

脂肪貯蓄防止

ビタミンDがダイエットを助ける理由の一つには、脂肪が溜まるのを防ぐ効果があるからです。

体内にビタミンDが十分にある場合に、レプチンというホルモンがより多く分泌されることが研究で分かっています。レプチンは、食事をしていると脳に満腹であることを伝え、食べ過ぎを抑える役割を持っています。

また、ビタミンDが血流に十分量満たされていると、脂肪細胞は脂肪を蓄える機能を鈍らせ、結果的に体内に脂肪が貯蓄されにくい状態になります。

逆に、ビタミンDの血中濃度が低いと副甲状腺ホルモン(PTH)とカルシトリオールというホルモンの値が高くなります。その場合には、脂肪を燃やす働きよりも貯蓄する働きが強まり、太りやすくなってしまいます。

脂肪燃焼と筋分解抑制

脂肪が溜まるのを防ぐだけでなく脂肪の燃焼に関しても有効であることが報告されています。

コルチゾールはストレスが溜まると分泌量が増え、体に悪影響を及ぼすことでよく知られるホルモンです。ビタミンDとカルシウムが共に働くことで、そのコルチゾールの生成を抑える事ができるようです。

コルチゾールは特にお腹周りに脂肪を貯蓄する特性がありますから、そのホルモンの分泌を減らすという事は、脂肪の燃焼に繋がるという事です。

また、コルチゾールの分泌は筋分解を促進させる働きがある事も有名ですね。筋分解も抑制できる可能性があるため、筋肥大にも有効であると言えます。

骨形成と怪我の防止

骨の形成に関係している事は既に周知の事実かもしれませんが、トレーニングには強靭な骨が必要なのは当然の事でしょう。重量が重くなればなるほど骨への負担も大きくなり、怪我のリスクも高まります。

基本的なことほど見落としがちですが、しっかりと骨の強化をすることは筋肥大・筋力強化に確実に貢献するものです。ミネラル一緒にビタミンDは必要量摂取するようにしましょう。

摂取の目安と過剰摂取や欠乏

一日に推奨されているビタミンDの摂取量は、

  • 男性・女性共に6.0㎍

です。

欠乏症には、幼児期の骨の変形や、成人の骨軟化症、老年期の骨粗しょう症など、足りなくなるとトレーニングやダイエットどころか、人生に影響が出るので目安量は摂るほうが良いでしょう。

勿論、最初に説明したとおり摂りすぎても良くありません。血中のビタミンDが多すぎると、吐き気、おう吐、食欲不振、便秘などの症状が確認されているので、一日に最大でも90㎍ほどにしておきましょう。

多く含まれる食べ物

ビタミンDは魚類に多く含まれており、しらす干しまいわししろさけくろかじきウナギさんまなど、種類は豊富です。

さんま、いわし、しらす干しなどであれば日常の食事にも取り入れやすいでしょう。

サンマやイワシ類には、ビタミンB群(特にビタミンB12)やカルシウムが多く含まれており、ビタミンBは栄養素の代謝に、カルシウムはビタミンDと反応して骨の強化にそれぞれ貢献します。

更に、サンマ、イワシには一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸の一種であるオメガ3脂肪酸を豊富に含まれています。どちらも欠乏しやすい脂肪酸ですし、両方摂れる上にビタミンB・D、カルシウムも備えているので、栄養価的にはかなり優秀な魚類です。

魚類以外では、チーズ等その他の乳製品に多く含まれています。卵は言わずとも知れた栄養の宝庫で、ビタミンミネラルをバランスよく含んでいます。

乳製品は腸内細菌の働きに影響したり、カルシウムを多く含んでいる事が多く、食品のバラエティにも富んでいるので、一番簡易なビタミンDの摂取源だと思います。

以上に紹介した食品は、どれも栄養価が高くおススメできるものですが、摂りすぎには注意しましょう。ビタミンDの過剰摂取もそうですが、脂質を多く含む食品が多いのでカロリーを多く摂りすぎる可能性もあります。しっかりと食べるものはコントロールして栄養管理を心がけましょう。

まとめ

この記事ではビタミンDの効能に関して話してきましたが、ご理解いただけたでしょうか。要点をまとめると…

  • ビタミンD(カルシフェロール)は脂溶性ビタミンの一種で、骨の形成に関わっている。
  • トレーニングに有効な効果として、細胞成長・修復の促進や筋分解の抑制が期待できる。
  • ダイエットに有効な効果として、脂肪貯蓄の阻止や脂肪燃焼が期待できる。
  • 魚類や乳製品に多く含まれており、他の栄養素も同時に摂取が可能である。
  • 摂りすぎには注意。

ビタミンDはカルシウムやリン、マグネシウムなどのミネラルと共に摂る事で骨の強化に繋がりますが、その他にも筋肉や細胞、脂肪の代謝など体全体の機能に関連する重要な栄養素です。アメリカでは欠乏症になる人もかなり多く確認されているようなので、一日の摂取量は食事から、もしくはサプリメントから適量とるようにしましょう。

では、また。

参考文献

  1. Al-Shoumer, AS Kamal and Thamer M Al-Essa. (2015). Is there a relationship between vitamin D with insulin resistance and diabetes mellitus? World Journal of Diabetes. 6(8), 1057-1064.
  2. Ceglia, Lisa., et al. (2010). Vitamin D and Its Role in Skeletal Muscle. Current Opinion in Clinical Nutrition and Metabolic Care. 12(6), 628–633.
  3. Hamilton, B. (2009). Vitamin D and Human Skeletal Muscle. Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports. 20(2), 182.
  4. National Institutes of Health. (2016). Vitamin D. The Office of Dietary Supplements.
  5. Zemel, B Michael and Xiaocun Sun. (2008). Calcitriol and energy metabolism. Nutrition Reviews. 66(2).