ビタミンAとは?

ビタミンA(レチノール、レチナール、レチナイルエスターを含む総称)は脂溶性ビタミン(油に溶けるビタミン)の一種で、多くの食物に含まれています。

ビタミンAは視力や免疫力、生殖能力、細胞伝達などに影響し、心臓や肺、腎臓などの内臓器官の機能を正常に保つ役割もあります。

ビタミンAは二つ形で食物の中に存在しており、一つは通常のビタミンA(既成ビタミンA)で、乳製品や肉類、魚などの動物性食品に含まれています。もう一つはプロビタミンAカロテノイドと呼ばれる、ビタミンAの前身となる色素です。

カロテノイドの中で最も重要であるのはβ(べータ)-カロテンで、体内でビタミンAに変換されます。その他にはα(アルファ)-カロテンとβ-クリプトキサンチンがあります。カロテノイドは野菜、果物などの植物性の食品に含まれます。

ビタミンAの一般的な役割

・β-カロテンを食事から多く摂取している場合、肺がんや前立腺がんなど、がんのリスクを下げる働きがあります。

・加齢黄斑変性と呼ばれる、年齢に伴う視力低下は、β-カロテンを抗酸化物質や亜鉛、銅などの栄養素と一緒に摂る事で、視力低下を遅くする働きがあります。

・ビタミンAを摂っていないとはしかの症状が重くなる可能性があります。逆に、子供がはしかの症状があるときにビタミンAを補給すると、熱や下痢が和らげる効能もあります。

筋トレ・ダイエットへの効果は?

あまり知られていない事ですが、ビタミンAはインスリンの分泌と関係しています。

ビタミンAが足りていない体は、耐糖性(インスリンへの抵抗性)が上がり、血糖値が上昇してもインスリンが分泌されにくい状態になっています。結果的にⅡ型糖尿病のリスクが高まるという事です。

また、ビタミンAの欠乏は、脂肪酸の酸化を妨げ、褐色脂肪組織の活性を低下させる働きにより、肥満の原因にもなります。

膵臓からのインスリン分泌と骨格筋繊維へのブドウ糖吸収に関わっていることから、ビタミンAを十分な量摂取していることは、トレーニング時のエネルギー供給や適切なインスリンコントロールを行うためにも必須である事が分かります。逆にビタミンAを必要以上に摂取してもあまり良い事は無く、むしろ過剰摂取による悪症状を引き起こす可能性があるので、摂りすぎには注意が必要です。

一日どのくらい必要か?

ビタミンAの摂取基準は年齢と生殖状態によって変わりますが、14歳以上の人の摂取基準は700mcg(マイクログラム)RAE(レチノール活性当量)から900mcgRAEほどとされています。しかし、RAEという表示は生活の中では見られず、代わりにIU(国際単位)というものが食品成分表示には記載されています。このRAEからIUへの変換が少しややこしくなっており…

・1IUレチノール(既成ビタミンA)=0.3mcgRAE

・1IUのβ-カロテンをサプリメントから摂取した場合=0.15mcgRAE

・1IUのβ-カロテンを食べ物から摂取した場合=0.05mcgRAE

・1IUのα-カロテンもしくはβ-クリプトキサンチン=0.025mcgRAE

例えば、900mcgRAEを摂取したい場合、食物もしくはサプリメントから摂取する既成ビタミンAは3000IUで基準を満たしますが、サプリメントからのβ-カロテンでは6000IU必要で、食物からのβ-カロテンでは18000IUが必要です。

ですから、単純に摂取基準を満たそうと思っても、正確な計算はかなり面倒になってしまいます。サプリメントなら簡単なので、サプリメントのIUを基準に摂るのは簡単で良いかもしれません。

どんな食べ物から摂れる?

サプリメントを摂取することをおススメしましたが、やはり普段の食事から栄養を摂取する事も重要です。前述したとおり、(既成)ビタミンAとβ-カロテンとで摂取できる食品は違います。

ビタミンA

・牛のレバーや他の肉の内臓(コレステロールの含有量も多いため注意が必要)

・サーモン、イクラ、ウナギ、等の一部の海産物

β-カロテン

・一部の緑黄色野菜(ブロッコリー、人参、カボチャ等)

・果物(メロン、アンズ、マンゴー等)

・乳製品

・グラノーラなどの栄養補助を受けたシリアル等

牛のレバーや他の内臓類

牛のレバーや鳥のレバーを筆頭に、肉類の肝臓には多くのビタミンAが含まれており、数切れで摂取基準を満たすことができるほど優秀な供給源です。

また、牛、豚、鳥の肝臓にはビタミンB2や亜鉛、鉄も豊富に含まれており、ビタミンA以外にも人体に重要な栄養を補給できます。脂肪分も少なく、タンパク質が多いので、ダイエットをしている方でも摂取する敷居は低いのも良い点です。

しかしながら、内臓類は共通してコレステロールを多く含んでいるので、栄養が豊富だからと言って摂りすぎると、動脈硬化などの疾患にもつながるため、注意が必要です。

ただ、コレステロールも筋肉の成長には必要であるため、適量を正しく摂取できれば、筋肉をつけるのにも、減量・ダイエットをするのにも良い優れた食材であると言えます。

イクラ、ウナギ、サーモン等の魚介類

魚介類の中にもビタミンAを多く含む魚はおり、クロマグロイクラスズキあなごなど比較的多様な魚に含まれています。

その中でも顕著であるのはウナギです。クロマグロはビタミンAが豊富な魚類の一種ですが、ウナギはクロマグロの6~7倍ものビタミンAを含んでいます。更に、ビタミンD、E、B1、B2、等他のビタミンにも富んでいるため、必須ビタミンを摂取するのにも良い魚です。

ウナギは血中にイクシオトキシンという毒を持っているため生食はできませんが、加熱をすれば美味しく食せます。調理法ではかば焼きなどが有名ですね。

ただ、タンパク質も多く含んでいる反面、脂質、炭水化物もそれなりに多いため、かば焼きに限らずウナギを食べるときはカロリーやPFCバランスの乱れに注意が必要です。

緑黄色野菜

多くの野菜にβ-カロテンが含まれていますが、実際に食事からビタミンAを摂ろうと思うと、レタスやかぶの葉などは沢山食べることはできませんよね。ですから、できるだけ密度が高く、栄養価に優れている緑黄色野菜を選ぶようにすればβ-カロテンをバランスよく摂る事ができます。

人参

β-カロテンと言えばこれ、と言われるほど多く含む、人参。野菜ジュース等にもよく主原料に使われていますが、甘みが強く、お菓子にもよく使われます。野菜の中でもトップクラスに多くβ-カロテンを含んでいます(9100IU/100g)し、食物繊維も豊富なので栄養価も十分です。
しかし注意しなければいけないのは、甘さの元となっている果糖の多さです。果糖は主に肝臓グリコーゲンとして蓄えられますが、肝臓の貯蓄量がいっぱいになると果糖は脂肪に変わってしまいます。普通のでんぷんよりもダイエットの敵になりやすい、という事です。

また、GI値(グリセミック指数)も71と高めなので、血糖値を比較的に上げやすい食物です。減量やダイエットを考えている人は、食事に取り入れる際は気を付けるべきです。

かぼちゃ

日本では主に日本カボチャと西洋カボチャが取り扱われていますが、スーパーでよく見るのは西洋カボチャで、日本カボチャよりも水分が少ない分、栄養価に優れています。β-カロテンが100g中に4000IU含まれている他、ビタミンE、C、食物繊維などが多く含まれています。

人参と同様に、野菜の中では甘みが強く、果糖が多めに含まれているため、食べ過ぎには注意が必要となっています。

ブロッコリー

ブロッコリーは上記の野菜に比べると、100g中に810IUと少なめですが、野菜の中では多い方で、固形物で量も多く摂りやすいのが良い点です。

また、加熱していない状態だとビタミンCが100g中に120㎎も含まれているため、スープの中に入れたりして調理法を考えれば他のビタミンの源にもなります。

さらに、ブロッコリーにはインドール-3-カルビノールという物質が含まれており、女性ホルモンの働きを弱め男性ホルモンの分泌を促進させる働きを持っているため、筋肉の発達と減量・ダイエットの強い味方にもなってくれます。

果物

マンゴーあんずスイカポンカン温州ミカンなどβ-カロテンを含む果物はそれなりに多いです。果物の多くは水分が多く、沢山食べずとも満腹感が得られるのが果物の良い点です。反面、果糖を多く含むことが多いので果物ばかりからβ-カロテンを摂るのはおススメできません。

過剰摂取には注意

ビタミンAはただ多く摂れば良いというものではありません。β-カロテンは多く摂取しても余分なものはビタミンAに変換されずに保管もしくは体外に排出されます。摂りすぎた場合にも、肌が少しオレンジ色に変色するほどで、有害ではありません。

既成ビタミンAの場合、過剰摂取するとめまいや吐き気、昏睡や死にもつながります。妊娠中の方がビタミンAを摂りすぎた場合にも、出産児に障害が現れるリスクが上がります。

年齢によってビタミンAの上限摂取量が決まっています:

出産後から12か月までの幼児:2000IU

1~3歳児:2000IU

4~8歳児:3000IU

9~13歳:5667IU

14~18歳:9333IU

19歳以上:10000IU

ビタミンAをサプリメントから摂取するのは良いですが、その場合は普段の食事から摂る量とサプリメントから摂る事ができる量をしっかりと把握した上で適切な量を摂るようにしましょう。

まとめ

ビタミンAについて話をしましたが、ご理解いただけたでしょうか。要点をまとめると…

ビタミンAには既成ビタミンA(動物性食品由来)とβ-カロテン(植物性食品由来)の二種類がある。

・インスリン分泌とブドウ糖吸収に関わっており、ダイエットやトレーニングをする人は推奨摂取量を摂るべきである。

・ビタミンAは動物の肝臓や魚介類、β-カロテンは緑黄色野菜や果物から摂取できるため、それぞれ注意するべき点を守って適切に食事に導入する。

・過剰摂取には注意

ビタミンAは意識しなくても、バランスの取れた食事を食べていれば適量摂取できるので、足りなくなることはありません。しかし、少し意識をしてビタミンAやβ-カロテンを多く含む食品を用いることで、他のビタミンを補ったり、筋肉や体脂肪に良い影響を及ぼすこともあります。「なんとなく」の食事より、ある程度栄養を意識した食事に変えることで、体も変わってくるという事を覚えておいてもらいたいです。

では、また。

参考文献

  1. Vitamin A (Retinol) & Glucose Management | Part VIII of the “There is More To Glucose Control Than Low Carb”- Series. Plus: Retinol’s Effects on Pancreas, Liver, Muscle and Fat. SuppVersity – Nutrition and Exercise Science for Everyone.
  2. National Institute of Health. VItamin A. Retrieved from https://ods.od.nih.gov/factsheets/VitaminA-Consumer/