テキサス大学アーリントン校の研究者によって行われた研究は、スプロール現象が、アメリカ合衆国全体で都市部での「食物砂漠」の形成へと引導している事を示唆しています。

スプロール現象による「食物砂漠」の形成

食物砂漠

アメリカ合衆国農務省による定義によると、都市部において1マイル(約1.6㎞)以上、地方部において10マイル(約16㎞)以上、スーパーマーケットやスーパーセンター、その他健康食品店から離れている低所得層地域の高人口地域の事を「食物砂漠」と呼びます。

今回の研究は、スプロール現象(都市部の無秩序な拡大現象)による町村部の食物砂漠化の増加に焦点を当てています。例えばダラスやタラント等の郡部の20%の住民は食物砂漠にすんでおり、健康的な食事の選択肢がありません。

今回の研究ではその解決方法として、町村部の住居密度をを上げることを提案しています。住居密度の増加と地域のコンパクト化は、より健康的な食品を提供する店の獲得と、人種・収入差別の低下を誘致し、問題を解決の方向へ位置付ける事が可能となります。

金銭的な援助は短期的な効果を発揮する可能性はありますが、住居密度の向上や地域の清掃、土地利用の多様化などの、より体系的で長期的な解決策によって効果的なスーパーマーケットの誘致ができる事が研究によって示されています。

この食物砂漠化はダラスに限った事ではなく、アメリカ全土・ひいては世界中の都市がスプロール現象による病癖を被っており、同大学の研究副部長であるDimos Duane氏は賢く考え、スプロール現象の問題に立ち向かい改善を図らなければいけない事を主張しています。

参考文献

  • Hamidi, Shima. (2019). Urban sprawl and the emergence of food deserts in the USA. Urban Studies. DOI:10.1177/0042098019841540