米国物理学協会によって公表された研究によると、パーソナルケア用の商品にナノ粒子のスクリーニングを使用することで、これまで有害だとされてきた化学物質の無害性を発見しました。

マイクロ流体装置によるナノ粒子のスクリーニング

スキンケア・日焼け止め

Biomicrofluidicsにて公表された論文では、マイクロチップを使用することで、日焼け止め剤に含まれる二酸化チタンは有害ではなく、紫外線から皮膚細胞を保護する働きがある事が示唆されています。

ある物質のナノ粒子において、拡大スケールと縮小スケールでは物理的・化学的・機械的・視覚的な特徴が違います。つまり、拡大スケールにおいて有害でない物質が有害である事もあり、その逆も同じように可能性としてあり得るのです。

パーソナルケア商品のナノ物質は体に何時間の間も留まり、皮膚から得られる大気や水分、光や熱、汗、油に曝される事になります。この事によって毒性は強化されたり、弱毒化される事があります。

これまで使用されてきたナノ毒性のスクリーニングの方法は手間と時間がかかるものでしたが、マイクロ流体装置を用いる事でナノ粒子分析の操作性・生産性の向上とコスト・標本数の削減が成されました

ナノ粒子は多くの商品に含まれており、様々な側面においてそれぞれに違う特徴を持っている事から、スクリーニング調査は非常に難を要します。

研究者は、シアン化カリウム(青酸カリ)やシクロヘキシミド、化学療法薬などの化学物質等のマイクロ流体スクリーニングプロセスを調査した以前の研究に基づいて、今回の研究を行いました。

マイクロ流体装置を使う事の主要なメリットは、極小マイクロチップ型の中の少量のサンプル数で複数の実験が行える事です。

研究者は、この研究結果がマイクロ流体スクリーニングチップの開発を促進させ、商品や環境内に入る前のナノ粒子のスクリーニングの規定化の基盤を作る可能性を示しています。

また、この研究による消費者個人向け商品の毒性試験の促進、安全性・ナノ粒子における規定の改善が期待されています。

参考文献

  • McCormick, Scott., et al. (2019). Multiparameter toxicity screening on a chip: Effects of UV radiation and titanium dioxide nanoparticles on HaCaT cells. Biomicrofluidics. DOI: 10.1063/1.5113729