この記事のまとめ
赤肉(牛・豚の肉)を植物性タンパク質に置き換えると、心疾患のリスクを下げる事が判明した。二つの食事を比べた場合、赤肉の食事は、心疾患の原因となるトリグリセライド濃度をより高くする働きがある。
植物性タンパク質の心疾患への影響
赤肉(牛や豚の肉)を植物性タンパク質に置き換えた食事は、心疾患の原因をとなる危険因子を減らすことが新しい研究で判明した。研究は、特定の食物と置き換える事で赤肉(動物性タンパク質)の健康への影響を調べる実験の初めてのメタアナリシスとなった。
*メタアナリシス…複数の研究結果をレビューし、より高次、もしくは確実な結論に至る手法、解析方法。
これまでの研究結果では、赤肉の心疾患の危険因子への影響は不一致であった。しかし新しい研究では特定の比較を行い、赤肉と植物性の高品質なタンパク質を置換することで心臓血管系の病気のリスクに対してより良い結果を出す事が分かった。
この研究では36の研究からのデータが使われ、1803人の参加者が関わった。研究者らは、赤肉の多い食事をした人と、他の種類の食事(鶏肉、魚、炭水化物、大豆やナッツ、さやえんどう等の植物性タンパク質)を食べた人を、血中コレステロール濃度とトリグリセライド、リポタンパク質、そして血圧を調査することで比較した。
*血中コレステロール値・トリグリセライド・リポタンパク質・血圧は全て心疾患の原因となる要素。
研究の結果、二つの実験群においてコレステロール値、リポタンパク質、血圧にはあまり違いが見られなかった。しかし、赤肉の食事はより高いトリグリセライド濃度を引き起こすことが判明した。反面、植物性のタンパク質を含んだ食事の場合は全体的なコレステロールレベルと、LDL(悪性コレステロール)の値が赤肉の食事に比べて低くなることが分かった。
これらの結果は、赤肉に比べてナッツや他の植物性タンパク質が心臓発作のリスクを下げる事を証明している長期的な疫学研究において、一貫している。調査結果は、これまでの研究の不一致性は、比較した食事の構成によるものである可能性も示している。更なる研究によって、他の特定の食事との比較が推奨されている。
「赤肉は良いのか悪いのか?」という質問は意味がなく、「何と比較して」なのかを明確にしなければいけない。ハンバーガーをフライドチキンを比較しても意味がない。逆に今回の研究のように赤肉と植物性タンパク質の比較なら有意義なものとなる。
研究論文の著者は、健康へのメリットと、環境持続可能性の促進のために、ベジタリアン食や地中海食の支持を推奨している。
*地中海食…地中海沿岸の伝統的な農作物や魚介類の食事。
参考文献
- Guasch-Ferré, Marta. (2019). Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials of Red Meat Consumption in Comparison With Various Comparison Diets on Cardiovascular Risk Factors. Circulation. 139 (15), 1828.
- Harvard T.H. Chan School of Public Health. (2019). Substituting healthy plant proteins for red meat lowers risk for heart disease. ScienceDaily.