ペンシルベニア州立大学によって、短い睡眠時間の後に脂質が多い食事を摂取しても満腹感を得にくく、脂肪代謝が変化する事が明らかになりました。
また、睡眠不足を補完するために一日だけ多くの睡眠を取った場合でも、十分に脂質代謝は回復しない事が判明しています。
睡眠不足は脂肪代謝に悪影響を及ぼす
平日等の稼働日は皆睡眠時間が短くなりがちですが、多くの睡眠不足の悪影響に関する研究に、また新たな研究が加えられました。
睡眠阻害・不足は時々代謝に害を与える事が知られており、長期的な睡眠不足は、肥満や糖尿病のリスク上昇などの危険性をはらんでいることなども判明しています。
肥満や糖尿病の要因となる糖代謝の変化については多くの調査が成されてきましたが、食物から摂取される脂質の消化(脂質代謝)に関しては殆ど研究が成されていませんでした。
研究では、15人の健康な成人男性を対象に、一週間十分な睡眠を取った後に、10日間の実験期間の内5日間を、5時間以下の睡眠で過ごす実験を行いました。
睡眠不足による不快なスケジュールの代謝への影響を知るために、4日間の短時間睡眠の後に参加者に高脂質食を提供しました。誰も食事を残すことはありませんでしたが、カロリー密度は非常に高いものでした。
殆どの参加者は、睡眠を十分に摂取した後よりも睡眠不足が続いた後の方が、同じ食事内容でも満腹を感じにくい事を報告しました。
研究者が参加者の血液サンプルを比較した結果、睡眠不足は食後の脂質反応に影響を与えており、食後の血液からの脂質の排出が速くなっている事が発見されました。
血液から排出された脂質は体内に貯蓄されるため、体重増加に繋がりやすい可能性が示されています。
5日間の平日の稼働日をシミュレーションした実験の後に、参加者は睡眠不足を補完するために一夜で10時間の睡眠を取りました。
10時間の睡眠を取った後に、稼働日に摂取したのと同じ高脂質食を摂取したところ、脂質代謝は少々改善されていたものの、健康的な値までは回復していませんでした。
この研究は高度にコントロールされており、現実世界に即したモデルとしては不完全であり、健康な男性のみであり、調査された睡眠補完の時間も1日のみであるため、更なる研究が必要である事が示唆されています。
参考文献
- Mess, M K., et al. (2019). Four nights of sleep restriction suppress the postprandial lipemic response and decrease satiety. Journal of Lipid Research. DOI: 10.1194/jlr.P094375