コレステロールは心臓血管系疾患との繋がりがある事で知られていますが、体内での多くの基礎的なプロセスにとっても重要な役割を果たしています。
デンマークのオーフス大学の研究者によって、コレステロールの細胞内への統合・結合に対する全く新しい、画期的なモデルが公表されました。
コレステロールが細胞に統合されるプロセスの重要性
「コレステロール値」は多くの人が耳にする言葉で、心疾患の主な原因となる高血中コレステロールの危険性などについて耳にしています。
しかし、コレステロールには、例えばエストロゲン(女性ホルモン)やテストステロン(男性ホルモン)などのホルモンを生成源であったり、非常に基礎的で重要な役割を持つ物質でもあるのです。
コレステロールは、脂肪とタンパク質で構成される小さな分子として血中を通って体内に運搬されます。
細胞内で、この分子が分解される事でコレステロールが放出され、細胞の一部として統合されます。この過程は人間だけでなく、動物や植物でも重要となりますが、分子分解の後にどのように細胞に統合されるのかは知られていませんでした。
近年では、この過程を統制する事で、食物からのコレステロールの摂取をコントロールをするような薬剤潜在性がある事も関係し、コレステロールの細胞への統合プロセスは非常に高い注目を集めています。また、エボラ出血熱などを含む多くのウイルスの感染も同じ仕組みで細胞内に侵入します。
過去5年間で、オーフス大学の研究者は、南デンマーク大学とリーズ大学の二校と共同研究を行い、生物物理学・構造生物学的方法を用いる事で、コレステロールがどのように細胞内に統合されるかを調査しました。
調査の結果、プロセスへの画期的な視点と新たなモデルの構築に成功し、コレステロールと細胞の関係性へのより深い理解を可能にする可能性が示唆されています。
参考文献
- Winkler, B L M., et al. (2019). Structural Insight into Eukaryotic Sterol Transport through Niemann-Pick Type C Proteins. Cell. DOI: 10.1016/j.cell.2019.08.038