European Journal of Endocrinologyにて公表された研究によると、初期糖尿病患者における長期間のビタミンDの摂取は、インスリン感受性と糖代謝を改善する事で、糖尿病の症状を進行を阻害・改善する可能性がある事を示唆しています。

ビタミンDの摂取は糖代謝とインスリン分泌を改善する

インスリン注射

ビタミンDの摂取に関して、これまで第Ⅱ型糖尿病を改善する効果があるとされる研究結果がいくつか報告されてきていますが、被験者の数が少ない・研究期間が短いなどの理由で、信頼に足る研究は成されず、ビタミンDの効果は不確かなものでした。

ケベックのUniversité Lavalの研究チームによって行われた研究では、それらの問題を改善することで、糖尿病患者におけるビタミンDの効能をより確かなものにすることが意図されています。

研究はケベックのUniversité Lavalの研究チームによって行われました。参加した96人の新規の糖尿病患者は、二重盲検法とプラシーボ統制によって6ヶ月間、ビタミンD3を毎日5000IU摂取し、研究の前後でインスリン機能と糖代謝を測定されました。

46%の被験者が、研究前にビタミンDのレベルが低いと診断されたのに対して、6ヶ月間のビタミンDの摂取の後には筋繊維におけるインスリンの働きと糖代謝が顕著に改善されていました

研究チームのClaudia Gagnon博士は、長期間における研究背景は、ビタミンDの摂取と糖代謝の改善の繋がりを発見する鍵になったのではないかと推測しています。

これからの研究では、ビタミンD摂取の個人の臨床・遺伝要因を考慮してのどのように個人に影響を与えるか、また、より長期的な摂取での効果はどのようなもになるかを調査するべきだ、と博士は述べます。

博士は伸び続ける第Ⅱ型糖尿病患者数に注意喚起をしつつ、今回行われた研究の結果を確定的なものにする研究が必要だとし、ビタミンDの高摂取の安全性に対する必要性も主張しています。

参考文献

  • Lemieux, Patricia., et al. (2019). Effects of 6-month vitamin D supplementation on insulin sensitivity and secretion: a randomized, placebo-controlled trial. European Journal of Endocrinology. DOI: 10.1530/EJE-19-0156