ニューヨーク大学等の研究員によって行われた調査では、砂糖が入った甘い飲み物を、入っている砂糖の量を基準にして課税を行う制度の方が、単純な水分量による課税よりも健康・経済利益が得られる事が示されています。
甘い飲み物への課税は肥満減少と経済拡大を促進する
研究が行われたアメリカでは、肥満防止・経済促進のために、7つの都市が水分量による砂糖入り飲料への課税(容積測定課税法)を行っています。
容積測定課税法によって砂糖入り飲料の消費の減少が見られる一方、砂糖の量が違う飲料も同じだけの課税が成されているため、最大限の健康的・経済的利益を生み出せるわけではありません。
このような調整課税を行う場合、潜在的有害性のバランスを考えるべきであり、砂糖飲料の場合の有害性は砂糖にあります。
最適ではないにしろ、容積測定課税法は有益である事は研究者が指摘しています。
例えば1リットルにつき34セント(30円強)の課税を行った場合、アメリカの成人は砂糖飲料を一日2.9オンス(約82ml)少ない量飲むことになり、22%の砂糖飲料の消費量減少になります。この減少によってアメリカの成人の体重は2.3ポンド(約1㎏)減る事が推測されます。
更に、合衆国全体での容積測定課税法の導入によって肥満の割合が2%低下(肥満人口210万人の減少)、第Ⅱ型糖尿病新患者は2.3%の低下(糖尿病発病患者年3.6万人の減少)が見込まれています。
また、このような課税は、主にヘルスケアのコスト節約によって、年14億ドルの経済拡大に繋がる事が示唆されています。
しかしながら、砂糖測定による課税法を用いる事によって、より大きな利益をもたらす事が指摘されています。
この課税法であれば、容積測定課税法より更に2.3g一日の砂糖の消費量を減らす事ができ、追加で0.7㎏体重減少を見込むことができます。
砂糖課税がアメリカ全域で導入されれば、追加で63万人の肥満人口の減少と、新規第Ⅱ型糖尿病患者は年に0.7%(約1.1万人)の低下が期待でき、、経済拡大はプラスで4億ドルされる事が推定されています。
アメリカにおいて砂糖入り飲料の課税への合意は為されているいるため、液体基準で課税を行うよりも、疾患を引き起こす原因である砂糖を基準に課税をするのは非常に合理的である事が指摘されています。
参考文献
- Allcott, Hunt., et al. (2019). Regressive Sin Taxes, with an Application to the Optimal Soda Tax. The Quarterly Journal of Economics. DOI: 10.1093/qje/qjz017