この記事のまとめ

グルテンやグリアジンは体内でゾヌリンの放出を促す。そのゾヌリンは腸内細胞の間を広げ、悪性物質を呼び込む可能性がある。

麦タンパクのグルテンは体に悪い?

大麦、小麦などに含まれる、麦タンパクの一種であるグルテンに関しては多くの意見があります。セリアック病と呼ばれる、グルテンへの免疫反応がもとになって起こる、自己免疫疾患を持つ方にとっては避けなければいけない物質です。

「病気でなければ、グルテンフリーなんてただの一時的な流行だろう」と心配をしない人が大多数だとは思います。しかし最近の研究では、私たちのほとんどがグルテンと、その仲間であるグリアジンを避けた方が良い事を示しているのです。

ゾヌリンとの関係性

パスタと白米を見比べたとき、数字の上ではあまり違いは見られません。どちらも130kcal前後で、25gの炭水化物と少量の脂質を含み、ビタミンはほとんど入っていません。

しかし、小麦から作られたパスタはグルテンとグリアジンを含んでいます。この二つの麦タンパク質が、『ゾヌリン』と呼ばれるタンパク質の生成を促進する事が多くの研究で指摘されてきています。ゾヌリンは、消化管の細胞壁の接合浸透性を調整するタンパク質です。

研究者たちは、自己免疫疾患がんとの関連する、ゾヌリンの腸内壁の細胞同士の間を広げる特性を発見しています。細胞間のスペースは本来は自然に広がりますが、ゾヌリンは広げすぎてしまうのです。

私たちの体は、麦に含まれる悪性細菌などの有害な物質を発見し、ゾヌリンを放出して腸内壁の間を開けて有害物質を外に出そうとします。腸をパイプだと考えると、ゾヌリンはそのパイプに穴を開け、本来体にあるべきでない物質を体内に招き入れてしまいます。それによって、アレルギー反応など多くの問題が体に顕われるという事です。

セリアック病かどうかは関係がありません。麦を摂る事で、体はこのように反応するのです。もし腸内を強く保ちたいのなら、最適な消化を得られるようにグルテンを避けるべきなのでしょう。

これが、多くの人がグルテンフリーの食品を求めて買っている大きな理由だと考えられます。腸内の健康が良くなると、体全体の健康や気分にも良い影響を与えますから、グルテンを含む麦やその他の食品を避ける事で生活が変わるかもしれません。

参考文献

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  2. Di Pierro, M., et al. (2001). Zonula occludens toxin structure-function analysis: identification of the fragment biologically active on tight junctions and of the zonulin receptor binding domain. Journal of Biological Chemistry.
  3. Fasano, A. (2012). Zonulin, regulation of tight junctions, and autoimmune diseases. Annals of the New York Academy of Sciences. 1258(1), 25-33.
  4. LaPlaca, David. (2019). Wheat and the Zonulin Issue: Why do many non-celiacs feel better when they drop gluten? Because gluten may not be the real problem with bread and pasta. Info here.