ミズーリ大学薬科学校の研究者らが行った動物実験では、同じ年齢・体重のメスとオスのラットに過度の飲酒を行わせたところ、メスのラットの方がアルコールへの感受性が高く、肝臓のダメージの割合が高かったことを示しています。

過度の飲酒は男性より女性に有害である可能性

過度の飲酒・アルコール

アルコール摂取は慢性的肝臓病の主な原因であり、過度の飲酒は肝臓へのダメージを増やす事が知られています。

長期間にわたって慢性的に飲酒をしている人は、多くの場合過度の飲酒による肝臓ダメージを被りやすく、代謝の統制ができなくなったり、他の臓器への損傷に繋がりやすくなります。

今回の研究では、繰り替えし行われる過度の飲酒に対する性別特定的反応の相違点を調査し、過度の飲酒によるメスのラットへの肝臓ダメージ率がオスのラットよりも高い事が判明しました。

研究チームはオスとメスのラットをそれぞれ4匹用意し、12時間の間隔で3回のアルコール摂取を行わせました。

最後の飲酒の4時間後に血液と肝臓組織の採取・解析を行った結果、メスのラットの血中アルコール濃度はオスのラットよりも2倍高く、炎症とダメージを引き起こす事で知られる肝臓脂肪の割合は4倍近くメスのラットに多く見られました。

更に、腫瘍成長を促進させる可能性があるタンパク質のジアシルグリセロールキナーゼアルファ(DGKα)の増加割合は、オスのラットが20%であった一方、メスのラットでは95%の増加が発見されました。

人間の性別の違いによる過度の飲酒の影響の差異と、その差異に対する代謝的原因への理解が、これからの研究で必要である事が指摘されています。

参考文献

  • Shukla, D S., et al. (2019). Binge Alcohol Is More Injurious to Liver in Female than in Male Rats: Histopathological, Pharmacologic, and Epigenetic Profiles. Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics. DOI: 10.1124/jpet.119.258871