ビンガムトン大学によって行われた研究は、肥満は味覚への反応の減退に繋がっている事を示しています。
肥満は味覚の減退に繋がっている
味覚は肥満によって変化する事は知られていましたが、基本的な神経変化は理解されていないままでした。
研究チームは、肥満が及ぼす孤束核(脳内の味覚処理器官)の中の味覚刺激の反応への影響を詳細化する事を目的として、高脂質食を用いて肥満になったラットを使用して実験を行いました。
肥満のラットの脳幹に存在する単細胞からの味覚刺激への反応を記録した結果、通常のラットよりも味覚刺激の大きさはより小さく、刺激時間はより短く刺激の構築には長い時間がかかる事が判明しました。
この結果より、高脂質食は、味に対する反応を鈍く、しかしより長い時間続くものにし、摂食行動と味覚反応との間の関連性を弱める働きがある事が示唆されています。
他の研究では、肥満のマウスと人間において、味蕾の数が減少していた事を示しており、味への反応が人間においても鈍る可能性は十分にある事が指摘されています。
現在研究チームは、胃バイパス手術の脳幹反応に対する影響を調べ、味覚機能の損失を回復する可能性を捜索しています。
参考文献
- Weiss, S M., et al. (2019). Taste Responses in the Nucleus of the Solitary Tract of Awake Obese Rats Are Blunted Compared With Those in Lean Rats. Frontiers in Integrative Neuroscience. DOI: 10.3389/fnint.2019.00035