コショウソウ(ガーデンクレス)はイラン原産のアブラナ科の植物で、日本では家庭菜園などを中心に普及した。クレソンや貝割菜などと同じ科に毒するため、形状が似ている。名前通り胡椒の風味がすることで知られている。

菜食主義者の味方コショウソウ

コショウソウは健康的な野菜の一つです。
コショウソウ

ケント大学の研究者たちは植物の中のビタミンが、ベジタリアンや菜食に更に完璧なものにするために改良できる可能性がある、重要な発見をした。ビタミンB12(コバラミン)は必須食事成分だが、野菜はビタミンB12を生成せず、成長に必要ともしないため、ベジタリアンはビタミンB12が欠乏しやすい

しかし、Martin Warren教授が率いる研究チームは、ガーデンクレス(コショウソウ)がコバラミンを吸収する事をついに証明した。

コショウソウによって吸収されるビタミンB12の量は成長媒体に現存する量に依存し、研究チームは栄養素がコショウソウの葉に行き着くことを示すことで吸収量を確認することができた。

植物の中にはコショウソウのようにビタミンB12が吸収できるという所見は重要である。インドのようなベジタリアンが多い国では栄養素が豊富な植物が非常に役に立つのだ。また、人口増加による世界のミートフリー(meat-free)化進んでいる中、菜食の完全栄養食を供給するという地球規模の課題にとっても効果的である。

科学者たちは生物学講師とその助手らとともにコショウソウにおけるビタミンB12の発見と測量を試みた。助手たちはビタミンB12の濃度上昇が見られるコショウソウを育て、七日間の成長期間を設けた。その後、葉は苗木から摘み取られ、洗浄の後解析された。苗木が成長媒体からコバラミンを吸収し、それを葉に貯蔵をすることが確認された。

この初期観察を確定させるため、研究者たちは、レーザー装置によって活性化された場合に蛍光を発するビタミンB12を作成し、植物の中に埋め込んだ。結果、ビタミンB12は葉細胞の中の液胞(vacuole)と呼ばれる水溶性の物質が貯蔵される場所へと運ばれる事が確認され、植物の中にはコバラミンを吸収・運搬をする可能性が証明がされた。

ビタミンB12はビタミンの中でも特定のバクテリアから作られる独特なものであるため、より複雑な多細胞生物内へと運ばれるためには長い過程を経らなければならない。論文で説明されている研究では、蛍光ビタミンB12の分子を使ってどのように運搬過程が確認できたのかを強調しており、ビタミンB12が欠乏しやすい原因の解明にも役立つことができる可能性がある。

この発見には、寄生中感性の撲滅に関する暗示もある。研究者たちは植物のビタミンB12の吸収性を立証しただけでなく、ミミズ類のワーム(worm)の体内での蛍光ビタミンB12分子の動きを追跡できることをも証明した。ワームは哺乳類の構造とは違った吸収構造を持っているため、鉤虫症のようなワーム型の寄生虫の処置にこの違いを活かせる可能性があるとしている。

参考文献

  1. University of Kent. (2018). Vitamin B12 breakthrough for more complete Vegetarian and Vegan diets. ScienceDaily. Retrieved February from www.sciencedaily.com/releases/2018/05/ 180517113307.htm

  2. Lawrence, D Andrew., et al. (2018). Construction of Fluorescent Analogs to Follow the Uptake and Distribution of Cobalamin (Vitamin B 12 ) in Bacteria, Worms, and Plants. Cell Chemical Biology. 25(8), 941-951 .DOI: 10.1016/j.chembiol.2018.04.012