フラックスシードは植物からのオメガ3脂肪酸の供給源としてよく知られています。今回発表された研究は、フラックスシードと腸内細菌の関係性について調べ、細菌が肥満やその他の生活習慣病に対しての予防になる事を示唆してます。

フラックスシードと細菌の関係性

腸内細菌はフラックスシードによって増えるようです。

昨年12月に発表された研究によれば、フラックスシードの繊維が発酵することによって、研究対象のマウスの腸内微生物群が生活習慣病の予防をし、肥満から守る働きをするよう改善されたことが示唆されています。

消化管に生息している微生物(腸内微生物)は、体重管理と体が糖を処理する能力(耐糖能)を統括しています。発酵と呼ばれる、腸内での食物繊維の分解は、体に良い脂肪酸の増加などの消化器官に好ましい変化をもたらします。有益な脂肪酸は体内の脂肪組織を減らし、免疫機能を改善する効果があります。

フラックスシードの繊維が豊富な植物で、コレステロールレベルや結腸の炎症を改善することが分かっています。しかし、フラックスシードの発酵性や、フラックスシードの繊維がどのように腸内微生物に影響かに関しては、まだほとんど研究が成されてきていませんでした。

*結腸は大腸の一部分で、直腸と虫垂の間にある食物の残り物を貯めておく器官です。

研究では、マウスは四つの異なる食事に割り当てられました:

1. 4.6%の大豆由来の食物繊維を含んだ通常の食事(統制群)

2.食物繊維を含まない高脂質の食事(高脂質群)

3.消化できないセルロースを10%含んだ高脂質の食事(セルロース群)

4.フラックスシードの繊維を10%含んだ高脂質の食事(フラックスシード群)

腸内細菌は健康効果をもたらす

研究者チームは、マウスによって使われた酸素、生成された二酸化炭素、消費された食事と水、消費されたエネルギーをそれぞれ計測しました。耐糖能に関しても試験の終了近くに計測されています。12週間の後、マウスの盲腸の中の微生物などの内容物を精査しました。

高脂質群は他のグループに比べ、健康改善に関する微生物が少なく、良質な脂肪酸のレベルは低く、更に肥満に関連する微生物がより多く検出されました。一方、セルロース群とフラックスシード群の両方において、微生物のレベルは高脂質群に比べて健康的なものであることが発見されています。

フラックスシード群においては肉体的にも活発で、体重の増加も他の高脂質群に比べ少ない事も報告されています。フラックスシードのサプリメントを与えられたマウスにおいても、良い耐糖能と、統制群に匹敵する良質な脂肪酸のレベルを保っていました。研究者が盲腸の内容物を調べたところ、フラックスシードの厚い粘着質な殻の層から食物繊維を発酵させていることが発見されました。発酵を担う微生物はそのようにして良質な脂肪酸を脂肪酸をしているという事です。

研究者は、「今回のデータは、フラックスシードの繊維の供給はエネルギー消費の増加と肥満のリスクの減少、耐糖能の改善等により、代謝を改善する働きがあることを示している。これからの研究では関連する別の微生物の貢献への理解と、フラックスシードの代謝系へのメカニズムの明示へと方向性を示していく。」と述べています。

参考文献

  1. American Physiological Society. (2019). Flaxseed fiber ferments in gut to improve health, reduce obesity: Flaxseed supplements increase ‘good’ bacteria and fatty acids in mouse study. ScienceDaily. Retrieved from www.sciencedaily.com/releases/2019/02/190205090541.htm

  2. Arora, Tulika., et al. (2018). Microbial fermentation of flaxseed fibers modulates the transcriptome of GPR41-expressing enteroendocrine cells and protects mice against diet-induced obesity. American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism. DOI: http://dx.doi.org/10.1152/ajpendo.00391.2018