カルフォルニア大学リバーサイド校によるグッピーについての研究では、動物は食べられる危険にさらされている場合の反応よりも、天敵のいない環境の中で進化する事が明らかにされています。

グッピーに学ぶ生物の進化の本質

進化

動物は食べられる脅威がある環境に対して進化するのか、天敵がいない環境の中で進化するのか、という疑問に対して、今回の研究は後者が正解である事を示しています。

カリフォルニア大学リバーサイド校の生物学教授であるDavid Reznick教授は、野生の中で、グッピーは滝や急流といった場所から、天敵となる生物がついていけない場所への移行が可能であることを説明しています。

Reznick教授の以前の研究では、グッピーは安全な場所へ一度到達すると、先祖とは異なる遺伝子の発達を見せ、急速に進化した事が明らかにされています。

今回行われた研究では、何故安全な水域で急速な進化が成されるのかが調査されました。

研究者たちは、グッピーの生息環境であるトリニダード(トリニダード・トバゴの島)において、グッピーを天敵多い水流域から、天敵がほとんどいない場所へと移し、通常のグッピーと比較をする実験を4年の期間に渡って行いました。

4つの水流域から移されたグッピーはマークされ、追跡ができるようにされていました。研究者は、5か月間ほど生きるオスのグッピーに焦点を当て、成熟における年齢とサイズを調べる事で、生体数の増加への影響を観察しました。

また、グッピーの数の増加に従って環境が同様に変化するかを確かめ、藻類や虫、他の天敵でない魚類等の食糧の豊富性も同じく追跡調査しました。

実験の結果、グッピーの移行から、オスの進化まで、2年から3年の期間が空いている事から、グッピーは最初に環境を変え、その結果、グッピー自身を変化させ事が発見されてました。

つまり、生物は自身を取り巻く環境を変える事で、自身の進化を形作っているのであると結論づけられます。

Reznick教授は現在、この理論が人間の進化に応用可能かどうかを調べています。人間はグッピーや他の生物と違い、人口密度の増加に対する予測制限が存在せず、環境や人間自身への影響も変化してくるため、更なる研究が必用である事が示されています。

参考文献

  • Reznick, ND., et al. (2019). Eco-Evolutionary Feedbacks Predict the Time Course of Rapid Life-History Evolution. The American Naturalist. DOI: 10.1086/705380