エディスコーワン大学の研究者によって行われた調査では、リンゴや紅茶に含まれるフラボノイドの摂取は、がんと心臓病を予防する効果があり、特に喫煙者や飲酒家に効果的である事が示唆されています。
フラボノイドはがんや心臓病の予防に効果的
研究では、23年に渡って53,048人のデンマーク人の調査を行ったデンマークの健康機関からのデータを解析しました。
研究の結果、植物性食品・飲料に含まれる物質であるフラボノイドを中から高程度の量摂取していた人は、がんや心臓病によって死亡する割合が少ない事が判明しています。
特に、喫煙による慢性疾患のリスクが高い人、もしくは一日に2本以上のアルコール飲料を摂取する飲酒家の人には、予防効果が最も高い事が明らかにされています。
この研究結果が、喫煙者や飲酒家の人に対するフラボノイドの摂取を促進することが期待されていますが、フラボノイドは喫煙や飲酒による死亡リスクの全てに対して対抗作用があるわけではないため、フラボノイドの緩和作用は生活習慣の改善とともに併用される事が望まれています。
どの程度の摂取量が良いのか
研究の参加者の中では、一日に約500㎎のフラボノイドを摂取していた人が最もがんや心臓病による死亡リスクが少ない事が示されています。
多くの種類の植物性食品・飲料から、様々なフラボノイドを摂取する事が良いとされ、例えば500㎎のフラボノイドを含む食品は:
- 紅茶一杯
- リンゴ一個
- オレンジ一個
- ブルーベリー100g
- ブロッコリー100g
等が挙げられています。
フラボノイドと死亡リスクの関連性は確立されましたが、どのような働きが行われているかは多面的な問題であるとして、まだ解析が成されていません。
フラボノイドはファイトケミカルの一種であり、抗炎症作用・血管機能改善作用がある事が判明しているため、アルコール摂取や喫煙によって起こる炎症や血管へのダメージなどの増加を抑える事で死亡リスクを抑えている事が推測されています。
研究チームは、これからの研究で、フラボノイドによってどのような種類のがん・心臓病が予防されるのかを調査する事に意欲を示しています。
参考文献
- Bondonno, PN., et al. (2019). Flavonoid intake is associated with lower mortality in the Danish Diet Cancer and Health Cohort. Nature Communications. DOI: 10.1038/s41467-019-11622-x