この記事は、今まで化学・生物を全く習って来なかった、もしくは習ったけれど忘れてしまったという人のために、化学・生物の基礎を著者と共に勉強していくものです。

前回は原子の構造について学び、原子は陽イオン・陰イオンになり、結合することで安定化する、といった内容まで学びました。

今回は、化学式と原子量・分子量について学んでいきます。

共有結合

原子はイオン化することで安定化する以外にも、他の原子と結びつき、「分子」になることで安定化することができます。

例えば、フッ素(F)の原子番号は9なので、L殻に7個の電子があります。後1個L殻に電子があれば安定化するということです。

そこで、二つのフッ素がそれぞれ1つずつ電子を出し合って、共有することで安定化を図ります。

フッ素の共有結合
フッ素の共有結合、KeyStageWikiより

電子を共有した原子は結合しているおり、このように複数原子が結合している状態を分子と呼びます。

前回はイオンになった原子が結合することをイオン結合と呼びましたが、今回は電子を共有しあって結合しているため、「共有結合」と言われます。

水(H2O)の共有結合

最も身近にある共有結合の例は、水(H2O)です。

H2Oは、水素原子(H)2つと酸素原子(O)1つが電子をそれぞれ出し合って共有結合が成り立っています。

水(H2O)の共有結合
水の共有結合、Simple English Wikipediaより

このように、それぞれのHのK殻には電子が2個、OのL殻には電子が8個になり、安定することができるのです。

単結合・二重結合・三重結合

共有結合の中でも、共有している電子の数によって呼び方が変わります。

  1. 単結合 例)水素分子(H-Hの結合でH2)
  2. 二重結合 例)酸素分子(O=Oの結合でO2)
  3. 三重結合 例)窒素分子(NNの結合でN2)

原子量・分子量

原子には陽子・中性子・電子が含まれていますが、原子によってその数は異なります。

重量が軽い電子に対して、陽子と中性子にはある程度の重さがあるため、原子それぞれに異なる重さがあるということが言えます。

原子1つ1つはかなり軽いので重量を量ることは難しいですが、アボガドロ数と呼ばれる「6.02×10²³」個の決まった数で原子の重さ(=原子量)を量ることができます。

原子量の単位は、6.02×10²³個=1モル(mol)と表すのが一般的です。

原子 原子量(1mol) 大まかな重量
H(水素) 1.008g 1g
C(炭素) 12.01g 12g
N(窒素) 14.01g 14g
O(酸素) 16.00g 16g
Na(ナトリウム) 22.99g 23g
Cl(塩素) 35.45g 35.5g

また、原子量と同じように分子量と呼ばれるものもありますが、分子量は単純に結合している原子の総重量で表されます。

分子 分子の中の原子量 分子量(1mol)
H2(水素分子) Hの原子量:1 2
O2(酸素分子) Oの原子量:16 32
N2(窒素分子) Nの原子量:14 28
CH4(メタン分子) Cの原子量:12         Hの原子量:1 16

原子量を足すだけで分子量を算出できるので、簡単ですね。